ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(愛称:杏の実)の評価

(2018年3月時点)

投資先債券の格付はとても高く信用度に問題は無い。ただし手数料等のコストが債券ファンドとしてはかなり高額。アクティブ運用なのに、インデックス投信と同等の運用成績という点も残念。首を傾げる投資信託だが、純資産総額は3000億円あり個人投資家の人気が高い。過剰な分配金に引き寄せられてしまった投資家が多数に上るのだろうと思う。

ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(愛称:杏の実)

  • 債券利回り2%強なのに、分配金利回りが7%近くある謎の現象が継続
  • 債券収入の分配金に占める割合は、たったの半分程度しかない
  • 身の丈に合わない過剰な分配のせいで、基準価額は非常に大きく下落
  • というか、普通にオーストラリア債券を買うだけで良いのでは?


 


投資先には問題無いのに、投資信託については問題ありそうだなとの予感


ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(毎月分配型)(愛称:杏の実)は、オーストラリア・ドル建て、及びニュージーランド・ドル建ての公社債等(国家機関、国際機関等)に投資をする投資信託です。

投資先のオーストラリアやニュージーランドの債券格付は最上級クラスで信用度がとても高く、安心感があります。個人投資家に人気のハイ・イールド債券のような「危険性」は無く、評価できます。信用度がとても高いのに債券の利回りは高いので、分配金を毎月得る目的としては、非常に良いと感じます。


オーストラリアやニュージーランド債券の格付けや利回り


ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープンの人気は凄まじく、最盛期には8000億円を超える資金を運用してようです。現時点でも3000億円超の資金で運用されていて凄いです。ただ、下記チャートを見ていて、ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープンには致命的な問題があることに気づきました。

ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(愛称:杏の実)の基準価額や純資産残高の推移


基準価額と「分配金再投資後の基準価額」の乖離が、大きくなり続けている点に注目です。このような傾向を示すファンドの多くで、身の丈に合わない分配金、つまり過剰分配が行われており、資産運用としては適さない事が多いのです。このあたり、詳細をチェックしてみましょう。



ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープンの分配金には、問題がある


ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープンの月次資料を見てみると、ほとんどオーストラリアの債券が占めています。また、約7割が最高格付の「AAA」ですし、残りは「AA」格付ですから、非常に良質な債券に投資している事が分かります。

ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(愛称:杏の実)の投資先ポートフォリオ


このように信用度の高い債券は、利回りが当然、低くなります。「借金を踏み倒される確率」が、とても低い訳ですから。この考え方は投資の世界の常識で、投資先債券の利回りは2.7%程度に落ち着きます。ここから運用経費が引かれるので、投資家の手元には2%程度に落ち着くのだと推測できます。

ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(愛称:杏の実)のポートフォリオ特性値


ところが、現在の分配金は7%近くもあります。(少し前までは分配金が10%を超えていたのですが、身の丈に合わない分配に耐え切れないのか、減額しているので分配利回りが低下中。)

どう考えても、7%の分配金利回りを捻り出すなんて出来る訳がありません。「じゃあ、あなたの受け取っている7%もの分配金利回りの原資は、どこから出るのさ?」という疑問が湧いてきますよね。

ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(愛称:杏の実)の分配金利回りの推移


話は簡単で、過剰に分配金を出しているだけなのです。以下の分配推移を見てみると、配当収益(債券収入)が占める割合は、ざっと5割程度でしょうか。残りは過去の運用益の積立金、運用益、または投資家の投資原資を取り崩して出しているという事になります。

配当等収益および分配金の状況


「運用益から出るなら問題無いのでは」と思うかもしれませんが、実際は確かめようにもよく分からず、不透明だから問題なのです。基準価額が激しく下落するチャートを見るかぎりでは、投資原資を取り崩しているのではないかと考えてしまう訳です。このように、実態が分からないものには投資すべきではありません。



普通に、オーストラリア債券をそのまま買えば良いのに・・・


ところで、ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープンはアクティブ運用の投資信託なのですが、ベンチマークや参考指数が存在しないので、運用成績の判断がまったく出来ません。実に困ります。

基本的に当サイトでは、ベンチマークの無いような投資信託は、買うべきではないと考えています。なぜなら、他の商品と比較できないからです。あなたがスーパーやコンビニで商品を買う場合、同じカテゴリー同士の商品ならば、かなり徹底して比較をしてから購入すると思います。

しかし、ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(愛称:杏の実)には比較検討のベースとなるベンチマークが設定されていないので、比べようにもそれができないのです。

仕方が無いので、ほぼオーストラリア債券に投資しているという事で、インデックス運用型のi-mizuho オーストラリア債券インデックスと比較してみましょうか。

ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(愛称:杏の実)と、オーストラリア債券インデックスファンドとのリターン比較


比較結果は上記の通り、インデックス運用型の投資信託と同じ値動きです。というか、むしろインデックスファンドのほうがリターンが上です。高額なコストを要求する割に、インデックス投資信託と同等以下の運用成績ですから、投資価値は無いと断言できます。

ただ、残念ながらi-mizuho オーストラリア債券インデックスは繰上償還されるので、新規の買付が出来ません。オーストラリア債券のようなマイナーな資産クラスに投資する投資信託などは、このように代替え商品もなかなかありません。比較もできなければ代替えもできない・・・そういう商品は避けたいものです。

そもそも、債券からの金利収入を定期的に得て、更には本ファンドのように為替リスクも負うのであれば、こんな投資信託など買わないで、最初からオーストラリア債券そのものを買えば良いだけです。冒頭に示した通り、債券としては信用度も高く、全く問題無いのですからね。

どうして、余計なコストを支払ってハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(杏の実)のような投資信託を買ってしまうのか、本当に意味が分かりませんね。



ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(杏の実)の概要


購入手数料:上限2.16%(税込み)
信託報酬:年率1.35%(税込み)
信託財産留保額:なし

分配金の取扱:年12回
償還日:無期限(設定日 平成15年6月13日)
運用:大和証券投資信託委託株式会社



ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(愛称:杏の実)の購入先

ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(愛称:杏の実)で分配金を得たい場合、下記の証券会社で購入が可能です。その他の証券会社では、最高2.16%の購入手数料がかかります。

手数料1.2996% 楽天証券
手数料1.62% SBI証券フィデリティ証券


 


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