通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)・複雑すぎてダメです

(2018年4月更新)

100億円近い資金を集めた人気の新設ファンド。200円の分配が設定来から続いていたが、ついに維持できずに減額してしまった。しかし分配金利回りは50%近くであり、詐欺的な商品だと感じてしまう。米国リートに投資するだけでなく為替取引とデリバティブ取引を抱き合わせており、複雑怪奇かつ確実にカモ人間向けに計画的に設計された商品である。決して手を出してはいけない。

通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)

  • 現状、分配金利回りが驚愕の49%に達しており、こんなふざけた投信は珍しい
  • 分配金が200円から140円に減額されたが、それでも途轍もなく多額
  • こんな多額の分配金が「変」だと思わないような人は、投資家失格だ
  • ただし現状、米国リートにシンプルに投資するよりもリターンは高い状況


 

米国のリート以外の投資対象が、あまりに複雑難解すぎる


通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の投資対象は、米国リートです。米国のリートに対してシンプルに投資するのであれば、問題ありません。しかし、そうは問屋が卸さないのが金融業界。怪しげなネーミングである「αクワトロ」の部分が、猛烈に余計なのです。

通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)


上記の画像のように「4つの成果」などと称している部分が、米国リートへ以外に抱き合わせている、非常に難解な金融取引です。ハッキリ言って、売っている証券マンもよく分かっていない可能性もある難しさです。それをあなたが、理解できるはずがない。

①アメリカのリートへの投資
②為替取引(米ドル売り/ブラジル・レアル買い)を抱き合わせ
③米国リートのオプション取引を抱き合わせ
④通貨のオプション取引を抱き合わせ


通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の収益の源泉


以上の4つの取引を行っているので、「クワトロ」なる名称なのです。米国リートへの投資は「投資」ですが、それ以外の3つは「投機」、つまりギャンブルまがいのトレードです。こんな事に個人投資家を巻き込んで、果たして良いのでしょうかね?

そもそも、複数の金融取引を組み合わせた事で、下記のように資金の流れが不透明になってしまい、基準価額の変動要因が全く想像できません。基準価額が下落しても、なぜ下がり続けるのか分からないという事です。(逆に、上がる理由も分からない)

上記、4つの価格変動要因があり、さらには単純な為替変動なども合わせると、合計で5つの要因が複雑に絡み合う事になります。それを理解できるならば、米国リート・αクワトロを購入しても良いでしょう。

ただし、それを理解できる投資家ならば、おそらくこのような酷い投資信託は、まず購入しないはずです。この商品を「製造」した連中など、絶対にこんなもんは買ってないはずですから。

通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の基準価額が決まる要因



クレイジーな商品設計「年利40%」の利回りは、現在は半減しているが・・・


ところで何故、シンプルに米国リートに投資しているだけでなくて、上記のように売っている人間も「何が何だか分からない」ような複雑な商品が必要なのでしょうか?

それは、投資の事をロクに勉強もしない(あなたのような)人たちが、このような欲深い商品を強く望んでいるからなのです。

日本人はアメリカの投資ファンドなどを「ハゲタカ」と称して毛嫌いしますが、ひふみ投信のファンドマネージャーの藤野さんに言わせると、「このような投資信託や、それを買っている人間の方がはるかに強欲でハゲタカ以上だ」となります。全く同感です。

おそらく営業担当者は、下記の合計41%を超える利回りについて、非常に熱心に説明して来ると思います。ここが、強欲な投資家が食いつくポイントだからです。・・・年率41%で儲かる金融商品があれば、他人に勧める前に、営業マンは借金してでも自分で全力買いをするはずです。

マトモな投資家ならば、インカム収益が年率41%などと言う数字を見た瞬間、バカバカしくて噴き出してしまうと思うのですが、金融機関の店頭にノコノコ出かけていくようなカモにとっては、「こんな凄い商品があったとは目から鱗!」などと思うのでしょうね。

通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)のインカム収益のイメージ


ところで、数年ぶりにこの投資信託をチェックしたところ、このクレイジーなインカム収益見込みは、41%から22%まで半減していました。オプション・プレミアム収益や、為替取引によるプレミアム収益の減少が、主な理由のようです。いずれも、管理人が問題のある取引だと警告していたものです。




しかし、年利20%だとしても、十分にクレイジーです。いったいどうやってこんな数字を無理やり作り出すのか、前回同様に月次レポートをチェックしてみます。

リートの配当利回りは、ほぼ変わらずに4.1%でした。リートのオプション・プレミアムが11.5%に向上しているのは驚きですが、通貨オプション・プレミアムが7.2%と、ほぼ半減しています。そしてブラジルレアルの金利は、約14%から6%近くまで、こちらも急減ですね。

これらの数字を見て、「凄いな!」と感じるのか、「ん?リートからの配当利回りは4%しか無いのか?それに他の収益源には安定感が全く無いな」と気が付くかによって、あなたの投資イケてる度が分かると思います。(・・・いや、あなたは最低限必要な月報や運用報告書など、読む事もないかもしれませんが。)

世の中、単純に利回り20%超の商品など、有るはずがありません。とてつもない利回りがあるという事は、イコール、とんでもないリスクの塊だと認識しないと、将来必ず痛い目にあいます。金融商品とは、そんなものなのです。


通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)のインカム収益の実績


ちなみに、最初の項で申し上げた「投資」の部分の利回りは4%です。残りは全て「投機」でかさ上げする、強引な利益です。投機と言うのは、市場参加者の全員のリターンがプラスマイナスゼロの世界の事を言います。つまり、椅子取りゲームみたいなものです。

という事は、今この瞬間に「座る椅子」があったとしても、そのうち必ず座れないタイミングがやってきて、今までの利益を全て吐き出す事につながりますから、それまで楽しみに、クワトロなる投資信託を保有してみて下さい。



一見、分配金が適正に支払われているように見える陰で・・・


上記のような強引な事をやって月に200円もの分配金を出しており、当時は確かに毎月の分配金を配当収益で補っていましたが、先述したように利回りが半減していますので、最近の分配金も、収益の半分しかカバーできていません。(分配金が青線赤枠が配当収益)

ちなみに、分配金に対して収益でカバーできない場合は、あなたの分配金はタコ足分配となって、元本払戻金がかなりの多額に達している人が出てくると思います。

通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の分配原資の内訳


そして、上記の状況を反映して、分配金は以下のように、200円から140円に減額となっています。当然の事ですよね、投資先からの収益が半減しているのですから。

通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の分配金履歴


しかし、これでもまだ、分配金は多すぎると思います。下記、分配金利回りの推移もご覧ください。200円の分配金だった時代が長く続いたので、分配金利回りは、驚異の49%に達しています。

これでは、投資したら2年で元が取れてしまうという、まさにクレイジーな数字であり、全く実態を表しているとは言えない数値です。もしもこんな分配金利回りを信用するようならば、あなたは投資などやる資格はないほどの愚か者である事の証明になります。

通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の分配金利回りの推移


上記の分配金利回りが「嘘」の数値である事は、簡単に見分けられます。以下、通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の基準価額の推移を見て下さい。濃い青が、分配金も含めたトータルリターンです。

どうでしょうか? 2015年6月の運用開始から、2年半で2倍以上になっていないと辻褄が合わないですよね。現実には1.1倍くらいにしかなっておらず、これは何かと言えば、あの多大な分配金は「真実の利益」から出ているのではなくて、単なる資金の取り崩し的な側面しかないという意味になります。

通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の基準価額の推移


でも何故、設計では4割(最近は2割)もの配当収益がありながら、基準価額は上昇しないのでしょうか? 答えは、有価証券売買損益に記載されている、6期連続の売買損失にあるのではないかと推測します。

おそらくこれが、オプション取引などを行う事による多大な損失の計上だと思います。配当収益よりも売買損失の方が大きかったら、基準価額など上昇するはずがないのです。

このページではオプション取引についての説明は省略しますが、例えばコールオプションの売りがどれほどまで報われにくい取引なのかなど、オプション取引のページをよくご確認頂ければと思います。

通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の損益の状況


現実の基準価額は、トータルリターンなど見ても意味があるようには思えません。というのも、恐らく皆さん、分配金は利益だと勘違いして全て消費に浸かってしまっている筈だからです。

分配が行われた後、2年半で半値に落ち込んでしまった基準価額こそが、目の前にある現実なのです。猛烈に財産を消費して、手持ち資金が半分になってしまったという事ですね。



純粋に米国リートに投資したい人向けの商品がある


以上、見てきたように、通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)はトンデモ投資信託です。そもそもあなたはこんな複雑な商品ではなくて、本来は純粋に、米国リートへの投資に興味を持ったのではないでしょうか?(いや、単に分配金に目が眩んだだけかな・笑)

この投資信託、月報を見ると単純に、海外ETFのiシェアーズ米国不動産ETFを1銘柄購入するだけの、著しくその部分では「手抜き」と言うのか、いい加減なファンドです。だったら最初から、SBI証券やら楽天証券マネックス証券で、iシェアーズ米国不動産ETFを買い付けすれば、済んでしまいます。


通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の投資先銘柄


海外ETFは少々面倒くさいので、国内(東証)に上場されたETFを買うという手もあります。その場合は、iシェアーズ米国リートETF(1659)を買っておけば事足ります。当サイト管理人も、このETFを購入しています。

ETFは、配当利回りの4%分のみをきっちりと分配してくれます(年4回分配)。したがって、通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)のような、キチガイじみた49%などではありませんので、分配されるごとにすっ飛んで基準価額が下がる事もありません。

ただし、直近の2年少々の期間で見てみると、単純に米国のリートにだけ投資する投資信託、下記の図ではETFではなくて、分配金再投資タイプのSMT 米国REITインデックス・オープンとリターンを比較してみたところですが、通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)のほうが圧倒的に成果が上でした。

通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)と米国リートインデックスファンドとのリターン比較
(αクワトロは、分配金を再投資したと仮定した場合のグラフになります)


これは、ここ数年、相場が横ばいの米国リート市場に対して、αクワトロの場合はそれ以外の「ギャンブル取引」がそれなりに機能したからかもしれません。

しかし、最初の項にも書いた通り、このように基準価額が上昇しても、何故こういった差が付くほどの上昇になったのか、運用報告書を読んでも月報を読んでも、理由が全く分からないのです。

という事は、「ギャンブル取引が機能しなかったらどうするんだ?」、あるいは「よく分からないような下落が有ってもおかしくない」という疑問が常に付きまといます。

当サイト管理人ならば、いくら直近のリターンが一見魅力的に見えたとしても、根本的に仕組みが「変」すぎるαクワトロなど、絶対に買う事はありません。



通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の概要


購入手数料:3.0%(税抜き)
信託報酬年率1.47%(税抜き)
信託財産留保額:0.3%
償還日:2020年6月17日(設立・2015年6月26日)
運用:大和証券投資信託委託株式会社


本ファンドは、信託期間の5年間保有したら、トータルで10%強ものコストがかかります。この分、あなたの元本が減る方向に働きます。この分を取り戻す勢いで運用しないと利益にならないので、アクティブ運用の投資信託は、非常に労力が必要になります。



通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)の購入先


それでも通貨選択型 米国リート・αクワトロ(毎月分配型)が欲しいという人は、購入手数料が無料の証券会社を利用すれば良いでしょう。

手数料無料SBI証券楽天証券
手数料3.24%大和証券


 


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