フィデリティ・USリート・ファンド・・・Bタイプも含めて最低の投資信託

(2018年月4時点)

過激な分配が開始されてからカモ投資家に愛され続けており、安定して野村證券の販売ランキング上位に顔を出す超人気な投資信託。大手証券会社の販売力は凄まじく、最盛期には純資産総額が1.5兆円に達した。いまだに人気があり2018年4月時点で7000億円を運用中。コストが猛烈に高額なのにベンチマークには惨敗しており、酷過ぎる運用成績の投資信託が人気になる理由が全く分からない。

フィデリティ・USリート・ファンド

  • マザーファンドの配当利回り4%に対して、人気のBコースの分配金利回りは18%
  • 配当収益の10倍以上の分配金を出しており、まっとうな分配方針とは思えない
  • 分配原資の内訳も凄まじい事になっており、近年稀に見る過剰分配の状況に驚き


 


最も人気の高い、フィデリティ・USリート・ファンドBを中心に解説


フィデリティ・USリート・ファンドは、安定した家賃収入を期待できる米国不動産投資信託(REIT)に資金を投じる投資信託です。世界のリート市場の62%を米国が占めていますし、市場規模がとても大きく、流動性が高いので、投資対象としては良いと考えます。

不動産は昔から資産運用の王道として取り扱われてきたので、投資対象として何の不満もありません。資産の3割程度は不動産を所有すべしという、資産3分法があるくらいですから。

そして、フィデリティ・USリート・ファンドは、為替ヘッジの有無、分配回数別に、4コースがあります。一番人気のあるフィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし)を中心に解説しますが、運用の本質はいずれも同じです。コース別の違いは、都度解説することにします。

・フィデリティ・USリート・ファンド(為替ヘッジあり)毎月分配型
・フィデリティ・USリート・ファンド(為替ヘッジなし)毎月分配型
・フィデリティ・USリート・ファンド (資産成長型)(為替ヘッジあり)年1回決算
・フィデリティ・USリート・ファンド (資産成長型)(為替ヘッジなし)年1回決算


フィデリティ・USリート・ファンドのポートフォリオ


フィデリティ・USリート・ファンドのREIT組み入れ比率を確認してみると、オフィス・物流、住宅、小売で半分以上を占めています。

実物不動産の感覚では住居系の家賃収入は不況に強い(安定している)のですが、REITですから商業施設をメインに銘柄を組み入れる事になります。業種別に適度に分散が効いていて、これは問題ありませんね。



とにかく、平均点以下の運用成績しか残せてない点がダメだ


フィデリティ・USリート・ファンドはアクティブ運用であり、ベンチマーク(米国のリート市場の平均値)以上の運用を目指すと明記されています。ということは、ベンチマークよりも運用成績が良くないと困ります。そのため、運用成績をベンチマークと比較することが重要になります。 ベンチマークは、為替ヘッジ有無のコース別に、以下の米国の代表的なREIT指数となります。

為替ヘッジなし:FTSE NAREIT Equity REITs インデックス(税引前配当金込/円ベース指数
為替ヘッジあり:FTSE NAREIT Equity REITs インデックス(税引前配当金込/円ヘッジ指数


フィデリティ・USリート・ファンドに高い信託報酬を支払っているため、ベンチマーク以上の運用成績を挙げて頂くのは必須なのですが、実は設定来からどの期間を見てもリターンはベンチマークに大幅に負けているのが実態であり、存在価値が全く無い投資信託です


フィデリティ・USリート・ファンド(A・B・C・D)の基準価額とベンチマークとのリターン比較


なお、このような米国不動産に集中投資する投資信託のリスクとして、価格変動リスクと為替変動リスクを認識しておくべきです。というのもREITは、価格の変動がかなり大きい金融商品だからです。

例えば年間収益率の変動は、かなり大きくなっています。為替ヘッジがない場合では、運用が良い時は+48.3%ですが、最悪の時は、なんとマイナス54%。為替ヘッジを効かせて、為替のリスクを排除しても、-42%~+43.95の間で、大きく変動します。

フィデリティ・USリート・ファンドA及びBの年間収益率の推移


REITの価格変動だけで、相当なリスクがあります。購入のタイミングがかなり重要になり、初心者が銀行や証券会社の営業マン、営業ウーマンに勧められて、気軽にホイホイ買うような代物ではありません。



分配金の利回り操作をした形成があるので、信用ならない


リスク以前に、そもそも管理人が一番、注意喚起を促したいのは、この投資信託は資金を集めるために、利回り操作をした疑いがある点です(分配金の放出量を変えるだけですから、簡単なのです)。

ここでは、いまだに一番人気で7000億円以上の運用資金のある、フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)で確認してみたいと思います。

ファンドBは2003年設立で、2009年辺りからいきなり、尋常ではない速度で純資産が増加しています。最盛期には純資産総額が1.5兆円近くにまでふくれあがっています。5年以上にわたって、かなりのカモ投資家がかき集められたのではないでしょうか?(この点は後述します)

フィデリティ・USリート・ファンドBの純資産残高の推移


分配金利回りがあり得ない水準になっています


さて、問題となる「利回り操作」にフォーカスしてみます。フィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし)は、2015年頃から、更なる過剰分配方針に切り替えて、月100円の分配が続いていました。

ただ、1年前ぐらいから分配金を減額する方針に切り替えていますので、そろそろファンドとしての賞味期限が切れたと金融機関側が判断したのでしょうか。


フィデリティ・USリート・ファンドBの分配金履歴


2015年当時は基準価額が5000円台まで下がっている中での増額ですから、分配金利回りが余計に高く見えることになります。一時期は、分配金利回りが26%近くまで上昇しており、本当に異常な数字です。

分配金を減額してからは、利回りは低下を続けています。下がったといっても分配金利回りは18%ですから、ありえない水準です。

フィデリティ・USリート・ファンドBの分配金利回りの推移


そしてそのように利回りを操作すると、純資産残高が異様に増える


なお本ファンドは、野村證券の販売ランキング上位に位置することが多く、分配金利回りの意図的な操作によって、カモ投資家を無理やり集めた形跡があります。

その痕跡は分配金の推移にも表れており、2007年11月以降、分配金が短期間で2倍近くになり、2010年8月までに、2.4倍程度まで上昇しています。 分配金だけだと水面下で何が起きているか分かりづらいですが、分配金利回りと純資産を見ていれば、面白い傾向が見えてきます。

フィデリティ・USリート・ファンドBの分配金の履歴の変化


実は下記のように、分配金を増額した時期以降から、徐々に分配金利回りが上昇し始めて、ちょうど1年後には、分配金利回りが17%(1年前は3%台)に到達し、最大で利回り25%まで急上昇しています。分配金の減額をするまではずっと15~25%の分配金利回りで、異常な状態が続いていました。

フィデリティ・USリート・ファンドBの分配金利回りの急速な変化


最後に、純資産の増加傾向をチェックしてみましょう。2008年頃は、まさに仕込みの時期であり、徐々に分配金利回りが上昇中でした。2009年になると15%を超える利回りが完成して、その辺りから純資産が急激に増加。カモ投資家が騙されて群がっている様が良く分かりますね。

フィデリティ・USリート・ファンドBの純資産残高の推移


このような傾向は、下記のように野村證券のランキング上位で売られている投資信託全てに見られる傾向です、不思議な事に・笑。やはり、高い利回りの裏には必ず理由があると言う事ですね。

 ・ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(米ドルコース)  
 ・アムンディ・欧州ハイイールド債券ファンド(トルコリラコース)
 ・野村米国ハイ・イールド債券投信(豪ドルコース)毎月分配型
 ・アムンディ・欧州ハイイールド債券ファンド(豪ドルコース)
 ・野村グローバル高配当株プレミアム(通貨セレクトコース)毎月分配型
 ・ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)
 ・ピクテ新興国インカム株式ファンド(毎月決算型)


なお、利回り操作は、以下の資産成長型のコースでは起きていません。そもそも分配金はゼロですから。利回りゼロだと、いかに人気が出ないのか、よく分かる事例だと思います。

・フィデリティ・USリート・ファンド (資産成長型)(為替ヘッジあり)純資産総額:15億円
・フィデリティ・USリート・ファンド (資産成長型)(為替ヘッジなし)純資産総額:89億円


毎月分配型タイプのAコース(為替ヘッジあり)は、分配金利回りは8%程度で、こちらもイマイチ資産が集まっていない状況です。やはり大量のカモ集めをするには、20%を超える利回りが最適なのかもしれませんね。


 


しかも、分配金は安定的な収益でカバーできていない


ところで、毎月分配型投資信託の場合、投資家の利益を無視して過剰な分配金を出す傾向が強く、大いに問題です。下記のように、分配金に対するREITの「配当金」からの安定した収益の比率は、過激な利回りのBコースでたったの1割程度、利回りがソコソコ高いAコースでも5割程度しかカバーできていません。

残りは、特別分配金等で対応した可能性が強いと思います。管理人も数々のファンドを見てきましたが、この数字は圧倒的に酷い部類となっています。


フィデリティ・USリート・ファンドA及びBの分配原資の内訳


本ページをご覧いただいている人の中には、分配金利回りが高いのに、どうして配当金や利息がこんなに少ないのかと驚く人もおられるかもしれませんが、もともと投資なんて、以下のような利回りです。フィデリティ・USリート・ファンドのすべてのコースが利用しているマザーファンドの配当利回りの実態は、4%以下ですから。

フィデリティ・USリート・マザーファンドと、そのベンチマークの配当利回り


利回りの面でも、ベンチマークの利回りに負けているところが、アクティブ運用としてダメだなと感じます。リートは株式より利回りが高いと言っても、実際は上記レベルだという認識が重要です。くれぐれも、高い分配金利回りに惑わされないようにしましょう。

それにしても野村證券からこの投資信託を購入した、あるいは購入しようとしているあなた。野村證券は、こういう説明、ちゃんとしてくれましたか??



野村證券グループの「野村インデックスファンド」を利用すれば良いのに・・・


フィデリティ・USリート・ファンドには問題が山積みですので、代替候補を考えてみたいと思います。ただ、フィデリティ・USリート・ファンドは、米国一点集中型のREITです。

あいにく良質なインデックスファンドには、米国一点集中タイプが存在しないので、先進国(米国、欧州)に広く分散投資するインデックスファンドと運用成績を比較してみます。


為替ヘッジの無いタイプの成績を比較してみた


まずは、為替ヘッジなしタイプのBコース、Aコースの代替を検討します。

・フィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし)
・フィデリティ・USリート・ファンド (資産成長型)D(為替ヘッジなし)


成績の比較として、運用歴がそれなりにある良質なインデックス運用型投信の野村インデックスファンド外国REITを使います。(信託報酬としてはSmart-i先進国リートインデックスが一番安いので、実際に買う場合においては、それを活用ください。)

こちらのベンチマークは、先進国REITの代表的な指数である、S&P先進国REIT指数(除く日本)(配当込み)です。米国の組み入れ比率は、67%程度です。年間の運用コストが非常に小さい点にも注目です。

というか野村證券グループさんって、こんな良いファンドを持っていながら、なんであなたにちゃんと教えないんですかね??? 

フィデリティ・USリート・ファンド(為替ヘッジ無し)とインデックスファンドとのリターン比較


過去3年の成績を比較すると、同等レベルです。投資に詳しい人からすると、異なるベンチマークの投資信託を比べることには違和感を感じるのかもしれませんが、そんな事を言いだすと野村證券に逃げられてしまいますので、マニアの方はぐっと堪えてください。

購入手数料3%を考慮すると、インデックス運用の投資信託の勝利になるタイミングも多くなります。なぜなら、投資する前から上記のグラフの起点が、フィデリティ・USリートファンドは3%以上も下に落ちて始まるのですから。

意味の分からない過剰な分配金を出すような投資信託よりも、良質なインデックス運用の投資信託に資金を預けた方が良いでしょう。下記のように、手数料や運用コストの面でも申し分ないと思います。

項目 フィデリティ・USリート・ファンドB 野村インデックスファンド・外国REIT
購入時手数料 3.0% 無料
信託報酬 1.4% 0.55%
3年リターン
(年率)
7.79% 7.39%
※:Dコースは5年未満の運用歴なので比較から除外


為替ヘッジのあるタイプの成績を比較してみた


次に、為替ヘッジありタイプのAコース、Cコースの代替を検討します。

・フィデリティ・USリート・ファンド A(為替ヘッジあり)
・フィデリティ・USリート・ファンド (資産成長型)C(為替ヘッジあり)



こちら成績の比較として、野村インデックスファンド外国REIT・為替ヘッジ型を使います。(信託報酬は、たわらノーロード 先進国リート<為替ヘッジあり>が一番安いです)

こちらのベンチマークはS&P先進国REIT指数(ヘッジあり、除く日本)(配当込み)となります。それでは、運用成績の比較結果をご覧ください。


フィデリティ・USリート・ファンド(為替ヘッジあり)とインデックスファンドとのリターン比較

項目 フィデリティ・USリート・ファンドB 野村インデックスファンド・外国REIT
購入時手数料 3.0% 無料
信託報酬 1.4% 0.55%
3年リターン
(年率)
-0.56% -1.33%
※:Dコースは5年未満の運用歴なので比較から除外


こちらの結果も、購入手数料3%を考慮すると、結局はインデックス運用の投資信託の勝利になるということです。(上記のグラフの起点が、売買手数料分だけ、フィデリティ・USリート・ファンドが3%以上も下に落ちて始まるから)

野村證券はこのような良質な投資信託も取り扱っているのに、証券マンは店頭に来た個人投資家には、決して教えたりしません。野村とか野々村ってのは、シラバッくれるのが実に上手いですね!!


●野々村証券、潔白を主張。野村インデックスファンドで日本を変えたい!




●じゃあなぜ、フィデリティUSリートを売りつけたのか聞かれて





フィデリティ・USリート・ファンドの概要


購入単位:販売会社が定める単位
購入手数料:上限3.78%(税込み)
信託報酬:年率1.512%(税込み)(運用管理費用込)
信託財産留保額:0.3%
償還日:無期限(設定日 2003年12月9日)
運用:フィデリティ投信株式会社
為替ヘッジ:Bコースはなし(Aコースはヘッジ有)



フィデリティ・USリート・ファンドの購入先


フィデリティ・USリート・ファンドを購入したい場合、証券会社により手数料が異なります。当然、料率の安い方がお得ですので、証券会社選びにはご注意ください。

手数料1.782% : フィデリティ証券カブドットコム証券
手数料2.16% : SBI証券楽天証券
手数料3.24% : 野村證券


※フィデリティ証券で新規口座開設してキャンペーンを利用すると、購入手数料が無料になりますので、どうしても欲しい人はその方法を取ると良いでしょう。


 


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