「いちよし公開ベンチャー・ファンド」と「いちよしジャパンベンチャーファンド」が、投資に値する投資信託なのかチェックしてみる

(2017年11月時点)

販売の現場で「公開ベンチャーに投資できます」とのセールストークが繰り広げられていそうだが、中身は至って普通で国内の中小型の株式に投資する投資信託。参考指数を上回る成績だと称しているが、それがハッキリと分からないのでモヤモヤする。コストが猛烈に高い点には、注意を要する。

「いちよし公開ベンチャー・ファンド」と「いちよしジャパンベンチャーファンド」


  • 小型株効果によって、日経平均などよりもはるかに高いリターンに
  • 参考指数に勝利しているのかどうかは、非常に不明瞭
  • かなりの高コスト投資信託である点は、意識しておこう
  • いちよしジャパンベンチャーファンドの方は妙な分配方針なのでダメ


 



事実上同一の、2つの投資信託を同時に本ページで解説します


本ページ作成のきっかけは、読者さんからの質問です。「いちよしジャパンベンチャーファンドの評価はどうでしょうか。昨今流行の中小型株式ファンドですが、どうでしょうか。評価をよろしくお願いいたします。 」との事でしたので、中身が同一の2つの投資信託を本ページにて評価してみます。

いちよし公開ベンチャー・ファンド(2000年11月30日設定)
いちよしジャパンベンチャーファンド(2017年11月17日設定)


これら2つの投資信託は、共に「いちよし公開ベンチャー・マザーファンド」に投資するファミリーファンド形式の投資信託です。中身は完全に同一と考えて頂いて構いません。

いちよし公開ベンチャー・マザーファンド



公開ベンチャーに投資?・・・単に国内の中小型株に投資する投資信託


さて、ファンド名称を聞いた瞬間に、「大儲けできそうなベンチャー企業に投資できるのか」と錯覚しそうです。しかし、中身は単に国内の中小型株式に投資する投資信託です。企業の成長性が高くて、株価水準が割安だと思われる銘柄に投資する方針です。

「公開ベンチャーとはどういう意味?」と思って中身をチェックすると、今後、猛烈に成長しそうな上場企業のことのようです。以下の文章で説明されています。上場されたばかりの企業の事を言うのかと思ったら、ちょっと違うようです。

上場企業のうち、ファンダメンタルズが良好で高い成長力を有し、近い将来において飛躍期を迎える可能性が高いと判断され、次のステージでのビジネスモデル、ビジネスプランが明確であると判断される企業を「公開ベンチャー」と位置付け、これらの企業に投資します。

ただし、中小型株式に注目することは管理人も賛成です。大企業の経営には安定感がありますが、成熟しているので急激に業績を高める事が難しく、株価も平凡になりがちだからです。

中小型銘柄、つまり新興企業と呼ばれる規模の小さい会社は、スピード感のある経営で一気に成長する可能性があり、その結果、株価が大きく上昇する事が多いのです。

成長企業の発展パターン


上記のイメージ図を見ると、超小型株でなくて、そこそこ規模が大きくなってきた小型と中型の銘柄を探し出すという事でしょうか。だったら中途半端な事をせずに、超小型株で挑戦すれば良いのにと思ってしまいますが、庶民向けの商売ですので、流動性を気にしてある程度の規模の会社に投資するのでしょうね。



基準価額が上がり過ぎないような商品設計で、庶民への販売を意識している


この項は、いちよしジャパンベンチャーファンドだけに該当する、収益分配の問題点です。いちよし公開ベンチャー・ファンドには無かった問題点です。

繰り返しになりますが、中小型株への投資は悪くありません。株価が大きく上昇する可能性が、確かにあるからです。中小型株ばかり保有すると、価格の上げ下げのブレが大きすぎて、疲れてしまう可能性も大ですが。

しかし、大きく資産を成長させるチャンスを自ら放棄するような、いちよしジャパンベンチャーファンドの分配方針には問題を感じます。下記をご覧下さい。

いちよしジャパンベンチャーファンドの収益分配方針


基準価額が上昇すればするほど、多額の分配金を出すという事です。しかも基準価額が11000円以上になったら、配当等の収益の範囲内ではなくとも、タコ足してでも分配するつもりに見えます。

定期的に儲けを確定すると言えば聞こえが良いでしょうし、基準価額が低く抑えられるから庶民が安値と錯覚して購入しやすくなる効果など、販売側にとっては好都合な分配方針でしょう。中小型株投資をする狙いは値上がり益の確保ですから、その魅力を打ち消すような方針はかなりイマイチだと思います。

いちよし公開ベンチャー・ファンドは値上がりしすぎて、基準価額が3万円近くに到達してしまったので、売りにくくなったのかもしれません。同じ投資信託を看板を付け替えて全く新しいもののようにして売りつけるのは、いかがなものでしょうか? 投資信託をまっとうに育てるという意識が無いように思えます。



表向きは偉そうな能書きだが、裏では自信が無さそうにしている態度


さて、いちよしジャパン・ベンチャー・ファンドには、さらにもう1つの問題点があります。それは、既存の投資信託のいちよし公開ベンチャー・マザーファンドには、参考指数としてJASDAQが設定されているのに対し、全く同じマザーファンドに投資するいちよしジャパン・ベンチャー・ファンド設定されていません。

いちよし公開ベンチャー・ファンドと参考指数とのリターン比較


上記の資料の説明には、非常に小さな赤い文字で、「当ファンドと同様の投資対象・運用手法を用いている「いちよし公開ベンチャー・ファンド」の運用状況であり、将来の市場環境の変動や当ファンドの運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。あくまで参考として掲載しており、「いちよし公開ベンチャー・ファンド」の売買を推奨するものではありません。」などと逃げ口上を用意しています。

どう見ても「成果を示唆」していると思うのですが、していないという事です・・・。妙な分配を実施する方針なので、参考指数を設定すると、やりにくい運用になってしまうのでしょうか。余計な事などする必要は無いのですが、・・・困った投資信託だと思います。

というか、上記の参考指数は配当を抜いた数字です。それに対していちよし公開ベンチャー・ファンドは配当を含んだ数字ですから、このグラフはまやかしものです。配当をきちんとカウントしたら、実態としては参考指数に負けているのではないかと推測します。



他に代替え可能な投資信託が無いか、チェックしてみる


いちよし公開ベンチャー・ファンドの運用成績が参考指数のJASDAQを上回る成績だと「まやかし」で言い張るので、他にジャスダックに投資する投資信託で、他に良さそうなものは無いものかと考えました。

結果、同じ運用会社のJASDAQオープン(信託報酬1.32%)と、ジャスダック銘柄のうちトップ20に投資するETF、JASDAQ-TOP20上場投信(信託報酬0.5%)を比較対象としました。

また、いちよし公開ベンチャー・ファンドもいちよしジャパン・ベンチャー・ファンドも「国内小型グロース」に分類されるので、同じ分類で評判が極めて高いというひふみ投信も、あわせて比較しました。

・・・と、結果はこれまた微妙ですね・笑。直近3年間では、下記のチャート上位の3ファンドは、それなりに良い成績を上げているようです。

「いちよし公開ベンチャー・ファンド」と「いちよしジャパンベンチャーファンド」と、代替えになりそうな投資信託やETFのリターン比較


ただし長期で見ると、5年間になってくるとETFのJASDAQ-TOP20上場投信の成績が一番になりますし、何とも言えないところです。当サイト管理人ならば、「であればコストの安いETFで十分でしょう」と考えて、JASDAQ-TOP20上場投信を購入すると思います。

直近1年間の運用成績の比較がこちら。1年で見ると、逆にETFの成績が良くなっています。「ま、だったらコストの安いETFで十分でしょう」となりますね。




なお、これらの投資信託は、日本の大型株の指数に比べると、はるかに良好なリターンを出しています。小型株効果が出ていると思います。集中投資をし過ぎると、相場が逆回転した時に深刻なダメージを負ってしまいますが、相場が好調な時には、一定程度の投資は悪くないと思います。

いちよし公開ベンチャー・ファンドと、日経平均やTOPIXとの比較


これで、ファンドのベンチマークや参考指数との比較をきちんとできるなら、場合によってはおススメの投資信託と表現しても良さそうには思えるのですが・・・。

参考指数に実態的に負けていたとしても、他にJASDAQに投資できる適当なファンドが無いし、TOPIXなどを明確に上回る成績ならば何でもOKだ」と言う投資家にとっては、悪くない選択肢になるかもしれません。



いちよしの2つのベンチャー・ファンドのコスト


購入手数料上限3.0%(税抜き)
信託報酬年率1.70%(税抜き)
信託財産留保額:なし
分配金の取扱:年1回
運用:三菱UFJ国際投信株式会社

こんな猛烈に高いコスト体系を見ると、とても長期に利用したいとは思えなくなります。この種のファンドに投資するとしたら、そのうち市場が急落したタイミングでしょうか。・・・先の事は分かりませんが。



いちよしの2つのベンチャー・ファンドの購入先


それでもいちよし ジャパン・ベンチャー・ファンドを買いたい人は、いちよし証券から購入が可能です。ただし、購入時に3%の手数料が徴収される高コストファンドです。


 


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