運用報告書と一緒に見ておきたい、鎌倉投信の運用結果

投資理念が崇高という点で、鎌倉投信も、独立系のアクティブ運用型投資信託として有名です。銘柄の選定基準も「人」、「共生」、「匠」と、下記のような理念のもとにポートフォリオを構成しています。

鎌倉投信の投資に対する考え方


このコラムコーナーでは、一部の投資家から絶大なる人気を勝ち得ていて、非常に高い理念を掲げる独立系の投資信託、さわかみファンドひふみ投信、鎌倉投信、コモンズ投信が、どの程度の実力を持っているのか調べてみます。


 

鎌倉投信の、数年間の運用成績はこんな状況

さて、鎌倉投信さん、積極的にウェブサイトでは説明はしていませんが、「ひふみ投信」同様に、株式の割合を50%超とする事を基本としています。株式以外の資産(安全資産)が、最大で50%まで保有できる点は、アクティブファンドらしくて特に問題ない思います。

ただし、この現金を有効活用してくれるならば、の話です。実際に2014年8月31日時点の保有割合を見てみると、株式の割合は58.5%となっています。

鎌倉投信のポートフォリオ


では、さっそく運用成績の方をチェックして参りましょう。まずはTOPIX(配当込)の成績と、鎌倉投信の「結い2101」(分配金再投資)の年間成績を比較してみましょう。比較データを見てみると、鎌倉投信の特徴が顕著に表れているのかなと感じます。

年度 TOPIX配当込み(%) 鎌倉投信(%) TOPIXとの差異(%)
2014 10.27 -5.26 -5.26
2013 54.41 -22.72 -22.72
2012 20.86 -11.27 -11.27
2011 -17.0 -0.53 16.47
2010 0.96 1.85 0.89


鎌倉投信の運用成績とTOPIX(配当込み)との比較(年率)


現金比率が多いからと言えばそれまでですが、TOPIXに対して、なんと半分程度のパフォーマンスって、正直納得できないですね、個人的には。

正直に申して、コストをかけて資産運用をして頂くのに、日本の市場平均の半分の成績というのは、アクティブファンドの中でも抜群に運用成績は悪いです。

気になる通算のパフォーマンスの比較結果は、下記のようになっています。2011年は踏ん張ったのですが、その後の運用成績が低く、TOPIX(配当込)に負け越すようになりました。

鎌倉投信の運用成績とTOPIX(配当込み)との比較


ちなみに上記の運用成績ですが、鎌倉投信の運用報告書では、以下のように表現しています。鎌倉投信がTOPIXに勝っているように見せていますが、下記のTOPIXは年率1~2%にもなる配当分を含んでいませんから、フェアではない比較方法です。

鎌倉投信の運用成績とTOPIXとの比較


正直、鎌倉投信の今後は良く分かりません・笑。相場上昇時に、ここまで負け越していますからね。相場下落時に、2011年度のように、上手い具合に損失を防ぐ事が出来るのであれば、長期的には資産が増えるかもしれないですが、完全に未知の世界です・・・



年率4%のリターンで、リスクを減らすのが運用目標との事

ところで、上記ではTOPIXの配当込みと勝手に比較して、負けてるだのなんだの言っているわけですが、それはそれでフェアな言い方ではありません。

なぜなら、TOPIXの配当込みは鎌倉投信のベンチマークではないからです。個人的に、ベンチマークの設定が無いと比較のしようがないので、やむを得ずやっています。

鎌倉投信の運用目標は、次の通りとなります。実に困った事に、これはすべて外部から見た場合、数字ではありませんから、判断することは全く不可能です。

鎌倉投信の運用理念


でも、実は鎌倉投信、年率リターンを5%とするのが目標なんですね。そして極力リスクを落としてやるのが目標との事。

信託報酬を引くと、投資家には年に4%のリターンをお返しするのが目標で、今のところは設定来で年率11%ですから、十分にそれに応えていると言えるでしょう。

今後株価が大幅に下落する事が有った場合に、TOPIXよりも大幅に下落が少ないのであれば、十分に役目を果たしたといえるでしょう。(このまま株価がどんどん上昇したら・・・)



ホントにリスクが少ないのか、いちおうチェックしてみた

さて本当に、鎌倉投信はリスクが低いアクティブファンドなのでしょうか? いくつかの独立系投信、それと市場平均に連動するインデックスファンドを含めて、比較してみました。

項目 鎌倉投信 さわかみ
ファンド
ひふみ投信 コモンズ30
ファンド
SMT TOPIX
インデックス
標準偏差1年 4.52 11.24 12.52 10.49 11.15
標準偏差3年 10.05 17.19 15.66 14.18 17.24
標準偏差5年 - 18.43 15.14 15.21 17.93
シャープレシオ1年 3.26 2.32 1.73 2.88 2.49
シャープレシオ3年(年率) 1.50 1.32 2.09 1.71 1.41
シャープレシオ5年(年率) - 0.65 1.38 0.83 0.73


こう見ると、確かに運用成績の上下のブレを見る指標である、標準偏差(数字が小さいほどリスクが低い)の数字が、他の独立系投信やインデックスファンドに比べると、明らかに低いのが分かりますね。

投資したいけど、数字が大きく上下するのが怖いという人は、確かに鎌倉投信を利用すると良いかもしれません。

シャープレシオに関しては、この数字が高いほどリスク管理がしっかりしているという指標で、これについては3年ではひふみ投信のほうが数字が良く出ています。コモンズ投信より劣るわけで、効率よくリターンを上げているわけではない、という事ですね。

ただし繰り返しますが、既に記したように現金の比率が異様に高いですから、当然ながら運用成績のブレはとにかく少なくなります。投資が怖い人にとっては、最適な投資信託ですね。



運用成績を上げるのは、銘柄選びか売買タイミングか

鎌倉投信の運用報告書を見ていて、面白いなと思った記事があります。それがこれです。鎌倉投信は他のひふみ投信やコモンズ投信と同様、銘柄選びを極めて重視している投信だと思っていましたが、けっこう頻繁に売買しているんですね。

  鎌倉投信の売買頻度


それにしても、投資先の会社への投資ウェイトが変わらないようにするという事は、実質的には毎日リバランスをやっているようなものです。

こんな細かい事が必要なのかはよく分かりませんが、基本的にリターンを上げようと思ったら銘柄選びよりも売買タイミングのほうがはるかに大事だと思います。

細かい売買よりも、今後大きく株価が調整したタイミングで、いかに貯まっている現金を果敢に突っ込むことができるか、それに今後の運用成果が大きく左右されるのではないかと思います。

ただし、そのような「アクティブ」な事をやると、シャープレシオの数値が悪くなるでしょうから、運用目標に対して矛盾が生じるかもしれませんね。でも、シャープレシオや標準偏差などの数値は、ほとんど見る人はいないでしょうから、まあ良いのかもしれません。



鎌倉投信ほど、従来の価値観から解き放たれた投信は無い

さて鎌倉投信を、管理人の思うがままに勝手につらつらと書いてきましたが、いつも思うのが、マーケティング的な上手さです。

アクティブファンドと言えば、市場平均を凌駕する運用を行って、投資家に報いるのが当然の役目と考えられてきた中で、市場平均に20%以上やられることがあっても、それを全く気にしていませんと平然と主張するアクティブファンドが登場するとは、思ってもみませんでした。

そんなアクティブファンドが有ったら、普通は投資家に袋叩きに合うはずです。が、鎌倉投信はその逆で、追加の資金が集まる始末です。

一度皆さん、仏教の般若心経 を読んでみて下さい。そして、そのあとに鎌倉投信の運用理念を、丁寧に読んでみて下さい。

仏教的な世界観と、鎌倉投信の運用理念が、違和感なく溶け込んでいるのに、ビックリするはずです。そして、運用成績が非常に悪くてもそれを非難するのではなく、逆にもっと応援してあげようと資金を追加投入する。

これは投資と言うよりも、むしろ「お布施」と考えたほうがしっくりくると思います。積み立て投資と言うよりも、「積み立てお布施」というべきでしょうか。

また、鎌倉投信のセミナーなどではおそらく、上記の「財施」ではなくて、恐怖や不安、脅(おび)え、慄(おのの)きなどを取り除いて安心させる、「無畏施(むいせ)」が行われると思います。

このように、従来の投資とは全く異なる価値観の転換を投資家に促した点に、鎌倉投信の成功(今のところ)があるのだと思います。






管理人的には、鎌倉投信は投資が初めてだという初心者の方に、非常に良いのではないかと思います。

インデックスファンドも良いですが、市況が悪い時に、初心者の方は心が折れます。アセットアロケーションを組んでリスク許容度を低下させればよいだけの話ですが、そんな事を万人が実行できるとはとても思えません。

そうであるならば、下げ相場でも思ったより値段が下がらないのが特徴と思われる鎌倉投信をセレクトするのも、アリなのではないでしょうか。

少なくとも、毎月分配型投資信託を買って、下げ相場でも分配金が出れば損失限定だ、と勘違いして変な安心をするよりも、はるかに良いのではないでしょうか。



 




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