日経平均インデックスファンドに近づいた、コモンズ30ファンド

コモンズ投信が運用する「コモンズ30」は、2009年1月に設立されたアクティブ運用の投資信託です。銘柄は厳選された30銘柄で、長期投資を通じて勝負を挑んでいる投信信託ですね。

コモンズ投信


このコラムコーナーでは、一部の投資家から絶大なる人気を勝ち得ていて、非常に高い理念を掲げる独立系の投資信託、さわかみファンドひふみ投信鎌倉投信、コモンズ30ファンドが、どの程度の実力を持っているのか調べてみます。


2016年5月、匿名を名乗る人から、「今はファンドマネジャーが変わって良くなった、批判記事は良くない、損害賠償を請求されることもある」などと言ったメールが来ましたので、もう一度コモンズ投信のチェックをしてみました。(2016年5月20日知更新)

2017年に入り、顕著に運用成績が良好になってきている状況なので、再度中身をチェック、本ページを更新しています。(2017年4月12日更新)


 

コモンズ投信は、このようなプロセスで銘柄を選ぶというが

コモンズ投信は銘柄選定に関して、仮説(共感できるかや、投資テーマ等)を立てた上で企業の詳細分析を行い、企業訪問を経て、30銘柄まで絞り込んでいるようです。

コモンズ投信の銘柄決定プロセス


ただ「ひふみ投信」のように現金を最大50%保有するなど、臨機応変な対応が取れるのか不明な(記載がない)ため、少々不安に思うところです。(これについてはファンドごとに方針が有るので、現金化率を多くしなくてはならない、と言う意味ではありません。)

加えて当ファンドは、分配金を出す場合があり、完全な再投資型の投資信託ではありません。では、さっそくアクティブ運用としての実力を精査して参りましょう。




まず、コモンズ投信の運用成績はどうなのか?

まずコモンズ投信のウェブサイトを訪問してみると、下記のように参考指数であるTOPIXとの比較データが提示されています。下記を見るとTOPIXを圧倒的に凌駕しており、素晴らしい!と言いたいところなのですが・・・。

コモンズ投信の基準価額の推移


実は上記のチャート、コモンズ30は分配金を再投資したチャートで、TOPIXは配当金抜きのチャートなのです。つまり比較するという意味ではフェアではありません。分配金を再投資している分、コモンズが有利になっています。

モーニングスターを利用すると、TOPIX(配当込み)とコモンズ投信を比較できるので、さっそく直近3年程度のパフォーマンスを見てみました。参考に日本株アクティブファンドとしては異様に評判の高い名高い「ひふみ投信 」も追加してみた結果がこれです。

コモンズ30ファンドとTOPIX配当込との比較


コモンズ投信の運用成績は配当込みのTOPIXに劣る事が多かったのですが、直近1年のパフォーマンスは良いようです。1年リターンであれば配当込みのTOPIXに対して約3%、5年リターンでも同等と、昨年にチェックした時よりも良好な成果を残せています

匿名氏が言うように、ファンドマネージャーが交代して運営が良くなったとの話しは、少なくとも直近1年の運用成績を見る限りにおいては、確認することができました。

気になるのは、ひふみ投信のように高パフォーマンスを維持し続ける事ができるのか、あるいは運良くこの1年だけ成績が良かったのか、・・・このあたりの見極めでしょうか。

長期実績を1年程度のパフォーマンスで判断する事は難しく、比較的高めのコストを支払って投資するよりも、例えば<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド(コモンズよりコストが4分の1)を買う戦略もありだと思います。

とはいえコモンズ投信の理念は良いと思いますし、毎月分配型投資信託と比べると、明らかに社会的な意義があるとは思います。投資信託としての運用成績が今後も満足できる水準が続けば、価値ある1本として保有しても良いでしょう。




コモンズ投信の銘柄選定は、いったいどうなっているのか??

コモンズ30のパフォーマンスを見て感じたのは、ここ1年間のパフォーマンスは確かに改善していますが、それが今後も続くのか、そのあたりに一抹の不安がある事です。

そこで、もう少し突っ込んだ調査をしてみました。そもそも独立型投信の一番の強みは、銘柄の発掘力つまり、調査力にあるはずです。長期投資を標榜する投資信託ならではの独自の視点で、銘柄選定をしていると考えられます。

一つの着目点として、日本経済の「衰退している面」ばかりを示す指標になってしまった、日経平均株価に採用されている銘柄の保有割合がどの程度なのかで、判断してみる事にしました

日経平均株価指数に採用されている銘柄に関する、非常に興味深い書籍がありますから、合わせてご覧になって頂ければと。

日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。(ひふみ投信の藤野さん執筆)


要は、パフォーマンスが劣化した銘柄が非常に多い日経平均株価の銘柄以外でポートフォリオを構成すれば、非常に良い運用成績が叩き出せるはずだという事です。

そもそもアクティブ運用を行っているのですから、優れた銘柄選定力がファンドとしての差別化に繋がるはずです。というか、ここがセールスポイントの一つにならないとオカシイ。

であるのに、誰もが知っている「大企業=日経平均採用銘柄」を多数組み入れているとしたら、正直言って「センスが無いのでは?」と感じる訳ですね。

と言う事で、コモンズ30を調べるついでに、さわかみファンド、鎌倉投信、ひふみ投信の合計4つのファンドで、評価をしてみる事に致しました。下記はその結果を示す表で、下に行くほど最新のデータになります。

項目 さわかみファンド コモンズ投信 ひふみ投信 鎌倉投信
現金比率(%) 4.3 20.8 4.5 43
保有銘柄数 119 29 98 44
日経平均に採用されている銘柄の数 59 16 9 1
保有比率トップ10の中の日経銘柄数 8 5 1 1
日経平均採用銘柄の保有率 49.6% 55.2% 9.2% 2.3%
※さわかみファンド:2014年8月25日時点、コモンズ30:2014年1月20日時点、 ひふみ投信:2014年9月30日時点、鎌倉投信:2014年7月22日時点




項目 さわかみファンド コモンズ投信 ひふみ投信 鎌倉投信
現金比率(%) 12.9 2.5 7.2 38
保有銘柄数 108 30 112 46
日経平均に採用されている銘柄の数 52 20 6 1
保有比率トップ10の中の日経銘柄数 8 8 1 0
日経平均採用銘柄の保有率 48% 66% 5% 2%
※さわかみファンド:2015年8月25日時点、コモンズ30:2016年1月18日時点、 ひふみ投信:2015年9月30日時点、鎌倉投信:2015年7月22日時点




項目 さわかみファンド コモンズ投信 ひふみ投信 鎌倉投信
現金比率(%) 12.5 1.5 8.4 42.1
保有銘柄数 99 30 123 54
日経平均に採用されている銘柄の数 51 21 12 1
保有比率トップ10の中の日経銘柄数 8 7 1 0
日経平均採用銘柄の保有率 52% 70% 10% 2%
※2017年3月末時点の調査。



全4つのファンドの中で、コモンズ投信は日経平均採用銘柄の保有比率が圧倒的に高く、全体に対する割合は更に上昇して、いまや70%に達しています。むしろ保有比率が上昇していますね。2014年の55%に比べて、明確な上昇です。

さわかみファンドも約50%ですから、この2つのファンドの保有する銘柄の約過半数が、名の通った大企業を採用しているという事です。銘柄選定力としては、どうなのでしょうか?

(さわかみファンドは、ファンドの規模が大きくなりすぎているので、流動性などの観点から考えると、やむを得ない部分もあると思います)

番外編的に意外だったのが、鎌倉投信の比率が一番少なくて、約2%だった事です。ひふみ投信も納得の水準ですが、鎌倉投信も銘柄選びに、相当に力を入れている事がビシビシと伝わってきます。

ただし鎌倉投信は現金の保有比率が4割近くに達して、これでは到底TOPIXに勝つことなどできません。逆に言えば市場が大きく下げる局面では、TOPIXよりも大勝ちする可能性を秘めています。

それにしてもコモンズ投信の日経平均銘柄への投資割合がこうも高いと、「だったら日経平均をベンチマークとするインデックスファンドを買っておけば良いのではないか」という疑問が湧いてきます。ですので、念のためにチェックしてみました。

コモンズ30ファンドとニッセイ日経225インデックスファンドとの比較


結果は、配当込みTOPIXに対してコモンズ投信が勝利しているのですから、当然、インデックスファンドよりもコモンズ30ファンドのほうが良好な運用成績です。が、5年のスパンで見ると、コモンズ30ファンドのほうが劣ってますね・汗。

コモンズ30ファンドはあくまでTOPIXを参考指数としていますから、日経225と比較するのは意味がありませんが、とは言っても日経平均に採用された銘柄の比率がさわかみファンドよりも相当高いという事は、現実的には日経225と比較するのもアリなのではないかと考えると、これはかなり複雑な心境になる比較結果です。

「なんだ、だったらそれよりも更に低コストの<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンドでも買っておけば良いかな」、という判断も間違いではない事になります。

コモンズ投信の理念に共鳴したり、会長の渋澤健さんが好きだという事で投資するならば、運用成績はあまり関係ありませんからそれはそれで良いとして、投資に対して冷静に数字で判断したい人は、せめてインデックスファンドに継続して勝てるようになってからでも遅くはないと考えます。




ザ・2020ビジョンは、残念ながら運用成績がぱっとしない

コモンズ投信と言っても、今まで見てきたコモンズ30ファンドだけでなく、ザ・2020ビジョンというファンドもあります。

こちらは設定後間もないので、特に精査しているわけではありませんが、「コモンズ投信の中ではなかなか良好な運用成績を残しつつあります。」と前回コメントしたのですが、再びチェックしてみたところ、運用成績が劣化しはじめました。残念な状況になりつつあります。

ザ・2020ビジョンと他のコモンズ投信、ニッセイ日経225インデックスファンドとの比較


今後もこの状況が継続しているのならば、投資を控える事になるでしょうね。存在価値のあるアクティブファンドになるのか、期待していたのですが・・・。

コモンズ投信はユーチューブなどを通じての運用報告にも力を入れています。ザ・2020ビジョンの最新の運用報告は次のようなものですので、継続してウォッチして、満足できるリターンだと判断すれば、投資の検討をしても良いでしょう。




●下記は、今回の更新時と状況が異なっています。あくまで過去記事になります。あくまでも記録としてご覧ください。現在は上述したように、フルインベストメントに近いです。

意外と売買タイミングが、上手くいってなさそうな件

今回の調査で、実は今まで見逃していた点に、気が付きました。実はコモンズ投信って、意外にも現金比率が大きいんですね。てっきり、フルインベストするタイプの投信かなと思っていたのですが、上記で紹介した表によると、現在は現金比率が、2割を超えています。

運用報告書を追ってみると、現金化しているタイミングが何度かありました。当然ながら複数銘柄を売買していると思うのですが、相場環境がどのような状況で、売ったり買ったりしているのか、非常に気になります。そこで、チャートを作ってみました。過去3年程度のチャートが下記です。

コモンズ投信の現金化比率とTOPIXの推移


現金比率が大きくなる時期が、保有株式を大量に売却している時期で、急に現金比率が小さくなった時期が、株式をかなり買い増ししている時期になるかと思います。ちょっと分かりづらいので、時期ごとに拡大したグラフで、別途確認します。

下記、2012年度の挙動を見てみると、相場が下落して底値近い時に売って現金化し、その後の天井付近で、買い増しを行っているようにも見えます。

コモンズ投信の現金化比率とTOPIXの推移(2012年)


2013年度の買付、売却時期は下記のようになっています。良いような、悪いような・・・。

コモンズ投信の現金化比率とTOPIXの推移(2013年)


実際のところは「個別銘柄」を買っているわけで、必ずしもTOPIXのチャートと重なる訳ではないので、その点はご了解ください。

ただし、相場環境自体は、個別銘柄の影響を強く受ける事は確かです。そういう意味でざっくりと見た感じでは、それほど売買タイミングが上手い訳ではないのかな、という印象です。

短いスパンでは、運用成績は銘柄選びよりも断然、投資タイミングで決まります。コモンズ投信が今後長期的に、TOPIX(もちろん配当込み)を上回る成績を収められるかどうかは、約30銘柄に厳選したという、その眼力が確かなのかどうかにかかっています。

が、結果が出るのは30年後とか言われて、その時ダメでしたとなったとしたら、時間は取り戻せないんで、・・・どうなんでしょうね??

といいますか、鎌倉投信が現金の比率を高めているのは、基準価額の値動きをマイルドにするためだと明確に謳っているからいいものの、コモンズ投信の場合はどう解釈したら良いのでしょうか。ちょっと管理人には、よく分かりません。



 




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