三菱UFJバランス・イノベーションを、DC向けも含めて評価・解説

(2017年9月時点)

三菱系列の証券会社でのみ買付可能な投資信託。相場環境に合わせて機動的に資産配分を調整するタイプの、よく見かけるアクティブ型投資信託。純資産総額は850億円を超える。リスクをかなり避けて超保守的な運用になるのだが、リターンの割にかかってくる割高なコストが長期の運用成績に影響を与えそうな予感がする。

三菱UFJバランス・イノベーション


  • わざわざ「ラップ」という単語を入れること自体が無意味な投資信託
  • 運用目標が全く無いに等しく、きちんと運用されたのか判断不可能
  • 確定拠出年金用の同名のファンドの2倍ものボッタクリ高価格
  • 何がどう「イノベーション」なのか、全く意味が分からぬ

なお本ページは、三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))だけでなく、確定拠出年金用の三菱UFJDCバランス・イノベーション(愛称:KAKUSHIN)も含めて、記事ボリュームが多いです。以下、気になったところからご覧いただくのでもOKです。

「ラップ」などという名称は、全く意味がありません
この投資信託の運用が上手く行ったのか、あなたはどうやって判定するのですか?
では、代替えとなる投資信託はあるのか?
でも、「どうしても代わりのものを何か挙げてくれ」と言われたら・・・
三菱UFJ DCバランス・イノベーションに関しては、どう見るか?
三菱UFJバランス・イノベーションのコスト情報など
三菱UFJバランス・イノベーションの購入先


 


「ラップ」などという名称は、全く意味がありません


三菱UFJ国際投信も、また困った投資信託を出してきましたね。この三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))シリーズの4本の投資信託など、全く買うに値しません。(確定拠出年金用の三菱UFJDCバランス・イノベーション(愛称:KAKUSHIN)については後述)

まず真っ先に言っておきたいのは、「ラップ」なる言葉を使っている点です。ラップと言うのは本来、富裕層向けの投資一任口座の事なので、ラップ口座向けではなくて、あなたのような一般人が購入できるごく普通の投資信託と言う時点で、売り手の思惑にハマってしまっている可能性が大です。

この投資信託は、富裕層が買うようなものではありません。高級なもの、あるいは間違いの無さそうなもの、もしくは元本を力守って利益だけは出してくれそうなもの、というイメージで購入したのならば、それは完全に間違いですから、顔を洗って出直してこられる事をお勧めします。



この投資信託の運用が上手く行ったのか、あなたはどうやって判定するのですか?


三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))は、世界の株式や債券に投資するもので、運用先には問題ありません。リスクを抑えつつ、リターンが狙える分散投資は、資産運用の基本だからです。投資対象が、下記に示すようなインデックスファンドという点も良いです。

三菱UFJバランス・イノベーションの投資対象のマザーファンド


ところが三菱UFJバランス・イノベーションなる投資信託は、シンプルで低コストである事が基本のインデックスファンドを使って、複雑で訳が分からない運用を行っています。

インデックスファンドの良いところは、ベンチマークという「運用目標」がハッキリしている点にあります。運用目標にキッチリ連動した成績を、永久的に得られるのが良いところなのです。

それに対して、市況を見ながらインデックスファンドへの投資比率を機動的に変化させてゆくのが三菱UFJバランス・イノベーションの投資方針であり、一見すると「それはいいな」と思ってしまうでしょうが、そんな事が上手く行くのであれば、誰も苦労はしないのです。

三菱UFJバランス・イノベーションの資産配分のイメージ


三菱UFJバランス・イノベーションは、基本となる資産配分プランごとに、債券重視型・株式抑制型・株式重視型・新興国投資型の4つのタイプがあります。

ところが金融機関の用意した美しい販売資料を調べても、運用目標となる合成ベンチマーク・参考指数、リスク目標など、一切、存在しません。下記のような資産ごとの組入変動範囲が、掲載されているだけです。

三菱UFJバランス・イノベーションの債券重視型、株式抑制型、株式重視型、新興国投資型の資産配分


市況に合わせて投資比率を変化させることで、実は運用する側は、大変心地よい状態になります。それは何かと言えば、ベンチマークや参考指数を設定せずに、すなわち、運用目標が何もない状態になるからです。投資家としては、投資信託の運用が上手なのか下手なのか、全く判断できません。

投資家は「ただ何となく保有しているだけ」という、極めてあいまいな状態になるのが、大きな問題点と言えましょう。その状態が分かる質問をしましょうか。以下、三菱UFJバランス・イノベーションの4つのタイプの運用成績を見てみましょう。

三菱UFJバランス・イノベーション(ファーストラップささえ)のリターンの比較


上記のチャートを見て、例えばあなたが債券重視型を保有していたとして、「運用成績についてどう思いますか?」と質問をさせて頂くとしたら、あなたは何と回答すれば良いのでしょう。

「元本割れしていないから良かった」とか、その程度の「何となくの感想」しか出てこないはずです。運用成績が良いのか悪いのかが判定できない投資信託など、買ってはいけないのです。

同じ「ラップ型投資信託」なるまやかしの投資信託、アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)などは、ベンチマークはありませんが、いちおう、「目標リスク水準」なるものが存在していてまだマシでしたが、今回の三菱UFJバランス・イノベーションには何もありません。実に投資家軽視の投資信託です。

上手く行ったかダメだったのか判断できないものにお金をつぎ込むことは、果たしてよろしいのでしょうか。富裕層だったら、まず間違いなくそんな馬鹿な真似はしないはずです。(成金は除く)


 


では、代替えとなる投資信託はあるのか?


単刀直入に言いましょう。三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))がお勧めできないのは明らかだとして、では「代わりのものは有るのか?」と問われたとしたら、回答は、「ありません」となります。

資産を組み合わせたバランス型投資信託には、本来はそれぞれのベンチマークが設定されていなくてはなりません。例えば今回の三菱UFJバランス・イノベーションならば、4つのタイプごとにベンチマークがなくてはなりません。

そして、資産配分比率が異なれば、ベンチマークは当然違ってくるので、ベンチマークは「ものさし」ですから、異なるものさし同士を比較する事は出来ないのです。バランス型投資信託の選び方は、本来は非常に簡単です。以下を忘れないようにして、バランス型投資信託を選んでください。

1.資産配分比率が自分に合っているかどうか
2.その資産配分比率でどの程度の損失の可能性が有るのか
3.アクティブ運用ではなくてインデックス運用
4.当然、ベンチマークが設定されている事
5.販売手数料は無料で信託報酬が0.5%程度より安いもの



なお、金融機関の担当者によっては、「昔のバランスファンドと違って、今のものは配分比率を適宜見直します」などと言ってくる人がいるかもしれません。しかし、そんなものは詭弁ですから、一切聞く耳を持ってはなりません。運用成績のチェックができない投資信託など、論外なのです。

バランス型投資信託の選び方や、投資の基本姿勢などが学べる、超絶に簡単な電子書籍がありますから、最低限、目を通しておいてください。少しも学習しない奴は、本ファンドのようなしょうもない投資信託の餌食になりますので、十分に注意してくださいね。


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でも、「どうしても代わりのものを何か挙げてくれ」と言われたら・・・


しかし、それでも「どうしても何か代替えとなるものを教えてくれ」という、他力本願な人のために、当サイト管理人が「これならば良いと思うよ」と言えるものを提示しておきますので、参考にして下さい。


三菱UFJバランス・イノベーションの「債券重視型」と「株式抑制型」


債券重視型と、代替えになる投資信託(リンク先に概要が記載されています)の資産配分比率は、ほぼ似通っていると思います。債券重視型よりも株式比率が2倍になっている株式抑制型も、過去のリターンは同程度ですから、それもあわせて代替え案を示しました。

資産配分比率
債券重視型 三菱UFJバランス・イノベーション(ファーストラップささえ)の債券重視型の資産配分
株式抑制型 三菱UFJバランス・イノベーション(ファーストラップささえ)の株式抑制型の資産配分
三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(マイパッケージ) 三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(マイパッケージ)の資産配分
三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))の債券重視型と株式抑制型の代替えとなる投資信託とのリターンの比較


上記のチャートでは運用成績に大差が付いているように見えるかもしれませんが、実際は3年で5%程度の差ですから大した事はありません。同等程度のリスク水準であれば、リターンが高いほうが良いに決まっているので、どう見ても代替えファンドのほうが良いと思うのですが。



三菱UFJバランス・イノベーションの「株式重視型」


次に、株式重視型です。現状の、株式への投資比率は約8割にも達しているので、かなりリターンが高いのかと思ったら、そうではありませんでした。

資産配分比率
株式重視型 三菱UFJバランス・イノベーション(ファーストラップささえ)の株式重視型の資産配分
三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)(マイパッケージ) 三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)(マイパッケージ)の資産配分
三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))の株式重視型と、代替えとなる投資信託とのリターンの比較


上記の通り、三菱UFJバランス・イノベーションは株式に多額の投資をしていながら、なんと過去3年のリターンは、たったの8.5%です。代替えとなる投資信託は、約21%のリターン。

確かに価格の変動がかなりマイルドに抑えられるメリットはありますが、だったら前項で紹介した三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(マイパッケージ)でも同等のリターンを上げていますから、それでOKでしょう。

そもそも、株式にここまで重点を置きながら、リターンがこれっぽっちでは何の意味もありません。高いコストを金融機関に支払って、株式投資のリターンをわざと下げているようなものです



三菱UFJバランス・イノベーションの「新興国投資型」


最後に、新興国投資型です。新興国への投資比率が3割を超して、本来はハイリスクハイリターンとなるところですが、そうはなっていません(数年単位でのリターンの表はここでは省略。自分でチェックしてください)。代替えとなる投資信託も示しておきましたので、ご覧いただければと。

資産配分比率
新興国投資型 三菱UFJバランス・イノベーション(ファーストラップささえ)の新興国投資型の資産配分
SMT 世界経済インデックス・オープン(株式シフト型) SMT世界経済インデックス・オープンの資産配分
三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))の新興国投資型と、代替えとなる投資信託とのリターンの比較


SMT 世界経済インデックス・オープン(株式シフト型)は、販売となってまだわずかなので、長期のリターン比較ができません。が、前項で記したように株式重視型でも低リターンでしたから、新興国投資型も、特に期待は出来ないと思います。

運用リターンを見ていると、どうやら三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ)は、とにかくリスクを抑えて価格変動を平準化したいのだ、という事が想像できます。

だったら、それを運用目標にすれば良いだけの事です。そういった事を全く書かないで、投資信託の運用目的は「値上がり益の獲得」などという耳ざわりの良い事だけが、書かれています。

三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))のファンドの目的


リスクを減らしたいから本ファンドを選ぶのではなくて、よく分からないで購入してしまった結果、数年経って「ぜんぜん儲からねえじゃん!」と文句を垂れる人も続出するかもしれませんね。

リスク水準を抑えると明文化されるのであれば、一定程度の役には立つかもしれません。株価の上昇ではなくて、下落に強い投資信託という役割に徹することができます。もっとも、そんな目的の投資信託など、欲望に目をギラ付かせた投資家の心には響かないでしょうが。



三菱UFJ DCバランス・イノベーションに関しては、どう見るか?


で、ここまで債券重視型だの株式重視型だのを見てきた訳ですが、実は三菱UFJバランス・イノベーションにはもう1つ、種類が有るのです。その名は、「三菱UFJ DCバランス・イノベーション」です。愛称はファーストラップではなくて、「KAKUSHIN(革新)」なるネーミングが付いています。

この「KAKUSHIN」は、確定拠出年金専用の投資信託となっています。・・・って、何だよ、投資信託を使いまわしているだけじゃんか。ぜんぜんラップじゃないじゃん。

資産配分比率は以下の通りで、ファーストラップ(ささえ)と同様に、市況に合わせて機動的に資産配分を見直すものとなっています。

三菱UFJ DCバランス・イノベーション(愛称:KAKUSHIN)の資産配分


現状の資産配分を見ると、ファーストラップの株式抑制型と極めて似ています。試しに比較してみると、以下のような結果になりました。株式重視型との中間的なリターンです。

三菱UFJ DCバランス・イノベーション(愛称:KAKUSHIN)のリターン水準の目安


ただし、確定拠出年金向けの三菱UFJ DCバランス・イノベーションに関しては、一般の証券口座で購入できる三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))よりは、悪い感じはしません。

と言うのも、次の項で示す通り、DCバランス・イノベーション(KAKUSHIN)のコストは0.6%であり、アクティブ運用の投資信託にしては比較的低コストであるため、長期運用にも耐えうるコストだと思います。

確定拠出年金は超長期の運用になりますから、リターンを抑えてでもリスクを大幅に低減したいというニーズもあるでしょう。ベンチマークが無いので運用成績の優劣を判定できない欠陥は抱えているものの、結果的に「定期預金よりは高いリターンが出れば良い」くらいに考える人にとっては、ある程度の役に立つ投資信託かもしれません。



三菱UFJバランス・イノベーションのコスト情報など


コスト情報
購入手数料 信託報酬 信託財産留保額
株式抑制型 2.0% 1.3% なし
株式重視型 2.0% 1.3% なし
新興国投資型 2.0% 1.3% なし
債券重視型 なし 1.05% なし
三菱UFJ DCバランス・イノベーション なし 0.6% なし


決算:年1回分配
償還日:2023年3月24日(設定2013年10月25日) 、三菱UFJ DCバランス・イノベーションは無期限
運用:三菱UFJ国際投信


三菱UFJ DCバランス・イノベーションと全く同程度のリターンである、三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))の株式抑制型と株式重視型の信託報酬が1.3%と、倍以上になっているところに、ボッタクリ感をヒシヒシと感じませんか?

だから、こういうアクティブ運用の投資信託はダメなんですよ。おまけに販売手数料を2%も取る訳で、長期的にあなたのリターンを削る事になります。

なお、代替えとして示した投資信託のコスト情報に関しては、リンク先ページをご覧ください。それぞれ販売手数料がゼロと言う時点で、三菱UFJバランス・イノベーションよりもはるかに有利です。

三菱UFJ DCバランス・イノベーションに関しては、どの金融機関の確定拠出年金で購入できるものなのか、情報が無いのでわかりません。ご存知の人がいらっしゃったら、ぜひ当サイトまで詳細をお知らせください。



三菱UFJバランス・イノベーションの購入先


三菱UFJバランス・イノベーションは、以下の三菱系の金融機関から購入できます。購入する必要など無いと思いますけどね。

カブドットコム証券三菱東京UFJ銀行三菱UFJ信託銀行三菱UFJモルガン・スタンレー証券


 
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