アジア社債ファンドに投資信託の乗り換えを勧められた

アジア社債ファンドを三井住友信託に勧められたのだが

●投稿者:トラキチ 秀さま(年代不明・男性)2016年6月

初めて質問させていただきます。6年前くらいに三井住友信託の勧めで『杏の実』を購入しました。毎月分配で給料の補てんをしていました。

はじめは順調で良かったのですが少しずつ減ってきたのはわかっていましたが、何もせずに今年に入りかなり落ちて焦りました。解約をしようと思い担当者と話した所、アジア社債ファンドを紹介されました。

毎月分配を給料の補てんにしているので続けたいと思っていますが毎月分配は?との話が多いのでどうしたらいいか悩んでいます。アドバイスがあれぱよろしくお願い致します。



 

回答:金融機関は、自らの都合の良いものしか勧めません

ご連絡いただきまして、ありがとうございます。もっと早くに回答したかったのですが、意外と回答しにくく、お時間がたってしまいましたこと、お許しください。

下記のように回答させていただきますので、何度もお読みいただきまして、分からない点があれば再度ご質問くださいね。

アジア社債ファンド
(それが分かると、投資信託の選び方が分かる)



杏の実には、現状も全く投資価値は無し

まず杏の実の現状ですが、リンク先ページの時と同様、現在でもはるかに低コストのインデックスファンドとほとんど同様の値動き、もしくはインデックスファンドのほうが良い成績を収める傾向が継続しています。




しかも最近の分配金を見ると、60円の分配金に対して赤枠の部分の金額しか、毎月の運用益で賄えていない状況です。という事は分配金のほとんどは元本払戻金であり、自分のお金を自分でATMから引き出して、利益と勘違いしているような状況になっています。




という事で、杏の実に投資価値は皆無なのはお分かりいただけると思います。で、問題はアジア社債ファンドが良いのか悪いのか、と言う点です。



アジア社債ファンドに投資する前に、自分の胸に手を当てて考える

アジア社債ファンドが良いのかを判断する前に、投資に対しての考え方を書かねばなりません。まず、毎月分配型投資信託は非常に多くの問題点を抱えていて、個人投資家の資産形成、あるいは給与などの補てんには大いに不向きだという点

これは基準価額が下がることは最大の問題点のページ、それと・・・問題多すぎて書ききれなくて困るのですが、せめて分配金が元本払戻金だらけでゲスノ極み!をお読み下さい。

次に、6年前に杏の実に投資して、そして今回アジア社債ファンドを買おうとしている訳ですが、その理由は何でしょうか? おそらく、そこに特段の理由などは無いと思うのです。

杏の実を買ったのも担当者が勧めたからで、今回も担当者が勧めたから。おそらく杏の実のトータルの損益なども、ノーチェックだと思います。こういうのは投資とは言えず、極めてギャンブル的な行動と言えましょう。

この5,6年は相場の上昇期間だったので、杏の実への投資は偶然のラッキーのおかげで破滅的な損失は避けられたと思います(むしろ利益が出ていると思います)。しかしもしも下落相場であったなら、本当に多大な損失を被っていた可能性が高いです。

そして今一度考えてみて下さい。今回杏の実の価格が大きく下落し始めて、怖くなって投資信託の売却をしようとしたわけですよね。今は相場の上昇時期でしょうか、下落時期でしょうか? 去年の夏から金融市場はかなり乱高下が激しくなっていて、少なくとも上昇一辺倒でないことは確かなようです。

そういう時期に、担当者のいう事を鵜呑みにして、なんとなく儲かりそうな気がするというような理由でアジア社債ファンドに乗り換えしてしまって良いのでしょうか?

担当者が最も恐れている事は解約されて資金が引き上げられることであって、トラキチ秀さまが大損する事ではないのです。大損してでも、解約だけはしてほしくないのが金融機関です。だって、毎月分配型投信を売ると、かなり銀行は儲かりますから。

要は、トラキチ秀さまは何の目的があって、どういう時に、どのようなスタイルの投資をどのようにやるべきなのか、基本中の基本と言いますか、根本の部分が何も決まっていないために、今回のように銀行員に勧められるとお悩みになるのだろうと思うのです。

勝っている投資家は、常にその部分にはブレがありません。アジア社債ファンドを購入する前に、銀行の言うがままではない、自分なりの投資スタイルをまず決めるべきです。



銀行はよく見つけてきたね、アジア社債ファンドなんぞを

と、投資の根本原則のような話しをさせて頂いた上でアジア社債ファンドを見てみましょう。この投資信託、運用成績はなかなか良好なのですが、それは後ほど書くとして、まず真っ先に言語道断でダメなのが、申し込み手数料です。

このファンドを買う時に、税込みで3.24%もの高額手数料がかかります。もしも500万円買った場合、なんと驚くことに16万円もの手数料を銀行に支払います。こりゃ、銀行も美味しすぎてやめられないですね。

そして毎年かかる信託報酬が1.6444%と、これまた非常に高い。年間8万2000円ですよ。こんなもんを5年間保有したら40万円!! 保有している人は一方的に、5年間で元本から合計で56万円も抜かれるわけですから、投資と言うよりは慈善事業です。

500万円で5年間投資する人は、アジア社債ファンドを買った瞬間に56万円の損失確定をするようなもので、銀行側の笑顔が頭に浮かびます。

次に、アジア社債ファンドにベンチマークが無いという事です。ベンチマークが無いと、運用成績が良いのか悪いのか、投資家は判断できません。ベンチマークや参考指数が無い投資信託はロクデモナイと心得て下さい。

アジア社債ファンドは、見事にその2つの悪ファンドの条件にピッタリの投資信託と言えます。普通なら、これだけでゴミ箱行きです。

ところが三井住友信託銀行が気合を入れて進めてきたのには、理由があります。ハッキリ言って、個人投資家がアジアの新興国のようなリスクの高い国の企業に集中投資する理由など何も無いのですが、あえてそこでリスクに目をつぶると、高いリターンを得られるのです。

下記、本来比べる物でも何でもありませんが、杏の実とアジア社債ファンドの過去3年間の運用成績です。分配金をすべて再投資したと仮定したグラフです。見ての通り、オセアニアの国家の債券に投資するよりも、ハイリスクな分ハイリターンになっています。(当然です)




参考までに、新興国の国家の債券や、先進国の国家の債券に投資するインデックスファンドと比べてみても、リターンが高くなっているのが分かります。




さらに、アジア地区の国家の債券に投資するファンドと比べてみても、国より企業の方がはるかにハイリスクでしょうから、その分、リターンが出ています。




社債などは株式並みのリスクがあると言われますので、念のためにいくつかの株式インデックスファンドと比べて見たらリターンの振れ幅はなんとなく、株式の方が近いような気もしてきますね。




と、このように過去3年のリターンは、アジア社債ファンドはかなり良い訳ですが、じゃあ基準価額が「かなり落ちて焦る」トラキチ秀さまに合っているのかが問題です。

下記、金融市場が明らかに変調をきたし始めた2015年8月末からの基準価額の推移です。杏の実が4%に満たない下落なのに対して、アジア社債ファンドは5%を超える下落になっています。

もしも今後、金融市場が動揺するとしたら、上げるときはガツンと上昇したアジア社債ファンドは、下げるときも国債に投資するファンドなどより、はるかに急激に下落することも考えておかないといけません。

こういった事を考えず、担当者は「過去の運用成績が素晴らしい、分配金が凄い沢山出る」と、良いところだけを抜き出して説明するのでしょうから、惑わされるのも当然でしょう。


(ま、純粋に1年前と比べると、杏の実の方が落ちてますけどね)


杏の実の基準価額の振れ幅のほうがアジア社債ファンドよりも明らかにマイルドなので、基準価額が株式並みに上げ下げするアジア社債ファンドに投資してしまって、トラキチ秀さまが平然としていられるのかどうか、そこが大きなポイントでもあります



2015年の途中まで分配金も健全だったが、今は猛烈な過剰分配

長らくリターンの良かったアジア社債ファンドですが、毎月分配型投信の化けの皮がはがれやすい部分、分配原資の内訳で、見ておきましょう。下記は2015年の前半の分配金です。120円の分配金のほとんどを、毎月の運用益からねん出できています。




これが、2016年4月末の分配金の内訳を見ると、一転してとてつもない過剰分配となっている事が分かります。120円と言う、投資信託を良く知るものとしては呆れるほどの高額分配なのですが、この半分の68円しか、収益で賄うことができていません。

じゃあ一体、残りの52円はどこからきているのかと言うと、基本的には投資家の元本を取り崩して分配を始めているのです。(杏の実の毎月の分配金とほぼ同額の大きなお金が元本払戻金となっている)

まさに杏の実で起こっている事、無理矢理分配をすればするほど基準価額が下がり、しかもその分配金の大半が利益でなくて自分のお金だったという、悪夢のような状況になりつつあることが示唆されます。




杏の実の悪夢から逃れようとしている人が、またも同じ構造の投資信託に乗り換えるなどというのは、ほとんど悪い冗談としか思えない状況です。

6年前に杏の実に投資出来たのは、非常にラッキーでした。が、投資に自分のスタイルが無い場合、ラッキーは長く続かない事も十二分にあり得ます。繰り返しになりますが、ご自身にふさわしい投資のスタイルをハッキリさせるようにしたほうが良いでしょう。



分配金を受け取る投資を志向するならば

もしもトラキチ秀さまが分配金を受け取るのを投資の目的とするのであれば、アドバイスさせていただくならば野村のボッタクリ投資信託の売却をどうしたら良い?のご質問に対して回答を、よくご覧ください。

上記の質問は、今回とほぼ似たような事例となります。ボッタクリ商品の犠牲にならずに分配金を受け取るための方法を記述していますので、参考になるかと思います。



 

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