投資信託を売却するか保有するか迷った時の判断方法

保有している投資信託を売却するかどうか悩んでいます

●投稿者:AYさま(年代不明・女性)2016年12月

突然で失礼ですが、是非ご意見を伺いたくお願いします。

野村ドイチェ高配当インフラ関連株投信米ドルコースを保有していますが、このまま保有してもダメではないかと思っています。ただいつ売却したらいいのか、株高円安でもう少し持つべきか、今売るべきか迷っています。損切でも売ってしまったほうが良いでしょうか。

野村證券ではフィデリティUSリートファンドBも持っていて、こちらは今の所、損はしていませんが、これも売ったほうがよいでしょうか。よろしくお願いします。



 

回答:保有している意味が無いのならば、売却するのが当然

ご質問頂き、ありがとうございました。多忙によりご回答が遅れまして、大変申し訳ございません。以下の通りの回答とさせていただきますので、ぜひじっくりとお読みくださいませ。



なぜ、高配当インフラ株や、米国リートに投資しているのですか?

今回のご質問を拝読して、真っ先に感じた事を率直に記すとしましょう。そもそもAY様は、何の目的が有って、高配当インフラ株とアメリカの不動産に投資をしているのでしょうか?

数ある投資対象の中から、それらを選んだという事は、何か明確な目的が無くてはなりません。もしも特段の目的など無くて、野村證券から勧められて儲かりそうだから買ったというのであれば、それは典型的な投資のカモであり、投資などする資格はありません。そこから見直すべきだと考えます。

投資家の力量
(あ、私も初心者の事は同じようなものでした。投資をしたかったら、勉強しましょう。)


投資信託を使った資産形成では、例えば私があらゆる人におススメしているようなインデックス投資であれば、損切りの概念が無い投資方法なので、基本的に値段が上がろうが下がろうが、長期保有が前提です。

しかしAY様のように、特定のジャンルの投資信託を決め打ちして買う場合、あらかじめザックリで良いので、どのくらいまで値上がりしたら売るのか、あるいは値下がりしたら損切りするのか、イメージしておくべきでしょう。

人に「どうしたら良いでしょうか?」と相談する時点で、その投資はご自身には全くふさわしくない、あるいは不勉強なので投資する資格なし、という事になります。

(ちなみにこんな単刀直入な事は、営業マンは決して言いません。売ったり買ったりさせて手数料を稼いだり、ボッタクリ信託報酬のものを長期間保有させて、たんまりと儲けるのが目的ですから。)

以上より、あなたが敢えてインフラ株や米国の不動産株に投資をする意味が無い場合は、利益が出ようが損が出ていようが、ただちに売却して「考え直した方が良い」という事になるでしょう。

投資信託だから難しく考えてしまうかもしれませんが、大根やニンジンで考えても同じです。「大根があるのですが、いつ頃食べた方(あるいは捨てた方が)が良いでしょうか?」と言う質問に対し、「購入した時点で、いつまでに食べないと腐るのか、お分かりですよね。あるいはいつ、何の目的で食べるために買ったのですか?」とお聞きすることになります。



利益が出ているから投資が上手くいっているという考えはNGです

さてところで、フィデリティUSリートファンドBは利益が出ているが、野村ドイチェ高配当インフラ関連株投信米ドルコースはダメかもしれない、との事。

一体、何をどうすれば「良く」て、どうなったら「悪い」と判断しているのでしょうか。ダメかもしれないというのは、何の根拠があるのでしょうか。

まず前提となるのは、野村證券の営業マンや、私、あるいはAY様も含めて、今後保有している投資信託が上がるか下がるかは、神様でもないので絶対に見通すことなどできません。「見通せます」と言う人がいたら、十中八九、詐欺師かウソつきですから、決して相手にしてはなりません。

では見通せない中で投資信託が良いのか悪いのかを判定するには、どうしたら良いでしょうか。最も確実なのは、それぞれの投資信託の運用目標に対して、数字が達成できているのかどうかを調べる事です。運用目標は、ベンチマークと言われます。

ベンチマークに対してマイナスの運用成績なのであれば、例え利益が出ていても、ダメなファンドなので縁を切るのが正しい判断となります。あるいは同じベンチマーク、あるいはほぼ似たような投資対象に投資する別の投資信託に切り替えると良いでしょう。

AY様の保有する投資信託の、ベンチマークと実際の運用実績を見てみましょう。管理人が運用報告書から確認した図を、以下の通り貼り付けますので、ご覧ください。

●フィデリティUSリートファンドB

フィデリティUSリートファンドBのベンチマークと実際の運用成績


はい、率直に申し上げて、酷すぎるの一言です。2003年からの13年間で、運用目標に対して56%も敗北しています。ここまで酷いのはそう多くありません。つまり、下手糞の極みのような運用をしているのが一目でわかりますから、このようなものは直ちに売り払うのが最善の策になります。


●野村ドイチェ高配当インフラ関連株投信米ドルコース

・・・はい、こちらについては、ベンチマークが存在しません。ベンチマークが無いという事は、私たち投資家は、その投資信託の運用が上手なのか下手なのか、判断しようがない、という事になります。

当サイトでは今までいろいろな投資信託を見てきましたが、ベンチマークや参考指数が無い投資信託はロクデモナイと、強く感じるに至っています。この手の投資信託からも、早急に手を引くのがよろしいかと思います。

それに、AY様はそもそも、この投資信託の複雑怪奇な仕組みを理解しているのでしょうか? 理解していないとしたらこの投信を保有する資格はありませんので、現金化して頭を冷やしていただいて、再度ご自身にふさわしい投資を見つめ直すと良いでしょう。



 


猛烈な高コストの投資信託など、全く買うに値しない

別の観点から、AY様保有の2つの投資信託の、非常に大きな問題点を記しておきましょう。各ファンドの解説ページでも書いてはいますが、おさらいです。

今回保有されている2つのファンドは、猛烈な高コストです。信託報酬などを高いと感じたことが無いのかもしれませんが、実は投資信託選びの基本中の基本が、コストです。

高コストの投資信託


例えば、もしも私が今回の2つの投資信託に似たような投信を買うとしたら、フィデリティUSリートファンドBの代わりに、米国を含む先進各国のリートに投資できる<購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックスファンドを、そして野村ドイチェ高配当インフラ関連株投信米ドルコースの代わりに、同じく先進各国の株式に投資できる<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドをセレクトすると思います。

そのような選択をした場合に、AY様の保有する投資信託と、長期的にどの程度のコスト差が出るのかを表にまとめてみましたので、ご覧ください。ここでは仮に、それぞれ300万円ずつ投資したと仮定して、どの程度コストが元本を傷つけるのかも書いておきました。


フィデリティUSリートファンドBで金融機関が抜き取れるコストの比較(税込み)

購入手数料 信託報酬 10年の
コストトータル
減る元本
フィデリティUSリートファンドB 3.24%
(売却時0.3%)
1.512% 18.66% ▲56万
<購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックスファンド ゼロ 0.2916% 2.916% ▲9万
上記の差額 47万円!



野村ドイチェ高配当インフラ関連株投信で金融機関が抜き取れるコストの比較(税込み)

購入手数料 信託報酬 10年の
コストトータル
減る元本
野村ドイチェ高配当インフラ関連株投信米ドルコース 3.78%
(売却時0.3%)
1.8964% 23.044% ▲69万
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド ゼロ 0.216% 2.16% ▲6万
上記の差額 63万円!



いかがでしょうか。野村證券から購入した投資信託を、そのままにして10年も置いておくと、なんとあなたの元本のおよそ二割が、何もしなくても金融機関にコストとして抜き取られて、強烈に資産が減少してしまう負の効果が強いのです。

それに対してインデックスファンドのコストの低い事、改めて私が表を見ても、あまりの差額に大きさに驚きます。野村証券の営業担当は、決して自分からこのような低コストファンドの存在を、知らせないでしょう。

もしもAY様がこのような投資信託の存在を知って、ネット証券などに乗り換えられたとしたら、上記の表の「差額」相当分の金融機関の「儲け」を、丸々失うのですから。

そして、この金融機関に流れる儲けを食い止めると、この分の金額があなたの資産として残る事になります。これが、投資信託選びの大前提は、とにかく低コストのものを選べという事になるのです。

参考までに、このような超低コストのインデックスファンドに対して、野村証券が売るような高コストのアクティブ運用の投資信託は、長期的に運用成績が劣る事が分かっています。コストが高くて成績が悪いのだとしたら、買ったり保有したりする意味は100%無いという事になります。



支払われている分配金も、念のために調べましょう

上記までで、現在保有している投資信託に、持ち続ける意味など無い事が分かると思いますが、更に確認をしてほしい項目が、分配金の種類です。

AY様の保有する2つの投信からの分配金は、普通分配金ですか?それとも元本払戻金ですか? これをチェックしたことが無いのだとしたら、投資家として大大大問題です。

⇒参考:普通分配金と特別分配金(元本払戻金)の違い


元本払戻金は文字通りあなたの元本が勝手に取り崩されるだけで、配当金でも何でもありません。自分のお金を他人(野村)が超高コストでATMから勝手に引き出してきて、それをあなたに渡しているだけですから、悲しさマックスの分配金です。

毎月のように元本払戻金が存在しているならば、全く保有する価値無しですから、直ちに縁を切るべきだと考えます。

なお、インデックスファンドは毎月の分配金が無いのでダメだ、とおっしゃる人もいます。が、SBI証券の投資信託・定期売却サービスを使えば、無分配の投資信託を自分で勝手に「毎月分配型」に変えてしまうことが出来る時代になりました。

金融機関に元本払戻金を大量に出されて悲惨な事にならないように、自分で分配額を決めて、タコ足分配にならないようにすることが出来ますので、分配型投信を利用したい人も、金融機関の言いなりにならず、低コストのインデックスファンドを使うと良いでしょう。



 
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