ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーで博打打ちでもやるか

(2018年7月時点)

円建てで債券投資ができる時代に、わざわざドル建てなどの現地通貨建てで新興国債券に投資するという、意味が有るのか分からないような事をやるファンド。従って、自分の運用を他のファンドと比較検討する事もできず、非常に厄介である。こういったものに平気で投資するような事をやってはいけない。

ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワー


  • 為替取引も取り入れた複雑な投資信託
  • 参考指数に対してほとんどのケースで著しく劣る運用成績
  • コストが高いだけでなく、どの位かかるのかもハッキリしない
  • 素人が手を出すものでないが、熟練者だったら尚更手を出さないだろう


 


債券投資と為替取引を抱き合わせた複雑怪奇な金融商品


大和証券が販売する、ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーなる投資信託があります。簡単に日本円で債券投資ができる時代なのに、わざわざ現地の通貨で債券を運用する不思議な投資信託です。

しかも、通貨選択型投資信託であり、異なる通貨間でのプレミアム金利収入を確保しながらも、毎月の分配を行わないというのも不思議です。

ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーには、全部で8コースがあり、お好きな通貨コースを選択できます。これらに投資価値があるのか、本ページでチェックしてみます。全てのコースを合計すると、ちょうど100億円程度の純資産残高となります。

・米ドル・コース:総資産11.96億円
・豪ドル・コース:総資産20.72億円
・NZドル・コース:総資産9.54億円
・南アフリカ・ランド・コース:総資産35.38億円
・日本円・コース:総資産0.64億円
・トルコ・リラ・コース:総資産18.90億円
・米ドル建ブラジル・レアル・ヘッジコース:総資産4.43億円
・米ドル建豪ドル・ヘッジコース:総資産3.30億円


ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワー



ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーには、大きく3つの特徴があります。

特徴1:米ドル建ての新興国債券に投資する
特徴2:米ドル建て資産に対して、各コースは米ドル売り、取引対象通貨買いの為替取引を行う
特徴3:現在、収益の分配を行わない方針



まず、新興国債券への投資に関してです。投資対象としては、とても一般的です。ただ、投機的な債券に投資するので、新興国債券だけに投資を集中させることは、おススメはできません。

また、為替取引がとても問題だと思います。為替取引を抱き合わせた商品の事を、一般的には通貨選択型投資信託と呼んでいます。以下のように資金の流れが複雑で、基準価額の変動要因が、全く分からなくなります。その上、ほとんどの通貨選択型ファンドの運用成績は悪くて、管理人には良い印象がありません。

ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーの収益のイメージ


これらの為替取引をセットにする理由は、定期的な収益源が増える可能性があるからです。それにより、毎月、多額の分配金を出そうとした場合に、通貨選択型の仕組みを使うことが多いです。

各通貨コースの収益の源泉


しかし、ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーは定期的に分配をせず、為替プレミアム収入を再投資して、資産の成長を重視しているのが特徴であり、その点はユニークだとは思います。

ただし、通貨取引は投資と言うよりも投機であり、長期的に安定的にリターンを得られることはほとんどありません。従って、為替取引を入れ込んだ投資信託は、ときおり大きな損失を計上してしまい、運用目標たるベンチマークや参考指数に対して、劣る成績しか出せないケースが非常に多くなります。

ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーにしても、余計な通貨取引が運用全体にどのような影響を及ぼしているのかをチェックする事が非常に大切であり、それを見てから、運用を託すのかどうかを決めるというスタンスが大切です。



コストが高いだけでなく、実際にどれだけ支払っているのか不透明


ところで、ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーは、購入手数料と信託報酬がとても高いです。 購入時に最大で3%の手数料(日本円コースは、最大2.0%)が必要で、毎年の信託報酬として1.34%を支払い続けるのは、とても重荷だと感じます。

しかも、「最低報酬金額」が設定されているので、各コースの純資産総額によっては、年率1.34%を上回る可能性があると明記されています。いずれのコースでも、資産規模は40億円以下ですし、人気のないコースであれば信託報酬が年率1.34%を超えている可能性があります。

また、「年間67,200米ドルを、各コースの純資産総額で按分した額」も1.34%の信託報酬以外で必要です。

通常、コストに関しては、より低コストの投資信託を選び直す事で、コストによってリターンが削られる事を「コントロール」する事ができます。例えば同じベンチマークの投資信託どうしであれば、コストが低い分だけリターンを増やす事ができます。

しかし、ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーに関しては、トータルで一体どれだけのコストを支払う事になるのか極めて分かりにくい構造であり、投資信託そのものが複雑怪奇であるのと同様、コスト体系まで摩訶不思議なものになってしまっています。

投資信託選びではコストのチェックが極めて重要ですから、そういう意味でこの投資信託は失格だと考えます。コストが高いだけでなく、コスト体系が不明確なものへの投資は、避けたほうが良いでしょう。



肝心の「新興国債券に投資する部分」の運用成績が悪すぎてダメだ


ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーの運用を支える「屋台骨」に相当する部分が、米ドル建ての新興国債券投資です。アクティブ運用がマトモに機能しているのか、参考指数の「JPモルガン・エマージング・マーケッツ・ボンド・インデックス・プラス」と比較して、チェックする事ができます。

このJPモルガン・エマージング・マーケッツ・ボンド・インデックス・プラスは、流動性の高い米ドル建て新興国国債のパフォーマンスを表す代表的な指数です。

アクティブ運用の投資信託を買おうかどうか迷っている人は、必ずベンチマークや参考指数と過去の運用成績を比較してみて、運用の手腕を評価してみて下さい。それらを下回るアクティブファンドはダメな投資信託で、上回っていれば高いコストを支払う価値があったと判定する事ができます。

幸いなことに、米ドル・コースであれば不要な為替取引が無いので、純粋に新興国債券投資のパフォーマンスを見る事ができます。その米ドル・コースの基準価額と参考指数の、過去5年の運用成績の比較結果をご覧ください。

ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーの米ドルコース


残念なことに、米ドルコースの運用成績は、圧倒的に悪いです。ここまで運用成績が悪い投資信託を見るのは、久しぶりです。この投資信託の基本となるべき新興国債券投資部分は非常にイマイチで、投資する価値が無いと判定する事ができます。

なお、1年毎の騰落率は、相場が悪い地合いでは参考指数よりも大きく下がり、相場が良い時は参考指数よりも上がらないという、これまたとても残念な運用状況であり、ちょっと呆れてしまいますね。



為替取引を抱き合わせても、ほとんどのコースで惨敗


ところで、ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーは、為替取引を導入して収益源の上乗せを図っています。米ドル・コース以外では、米ドル建て資産に対して、「米ドルを売って取引対象通貨を買う」為替取引が行われます。

米ドル、豪ドル、NZドル、南アフリカランド、日本円、ドルコリラなどの各コース


以下のように、取引通貨対象の短期金利と米ドルの短期金利の差、つまりプレミアム収入を得る事で収益を底上げするのが目的です。債券ポートフォリオの利回りと、プレミアム収入の利回りを合算して、より高いリターンを獲得して基準価額を更に上げようとする魂胆です。

為替プレミアムについて


では、為替取引を抱き合わせた効果があったのかを見てみましょう。ここでは、為替取引を抱き合わせた状態で、参考指数のJPモルガン・エマージング・マーケッツ・ボンド・インデックス・プラスよりも良い成績になっているかどうかをチェックします。なお、参考指数は各通貨の金額に換算されています。


豪ドル・コース・・・成績悪し


ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーの豪ドルコース


NZドル・コース・・・成績悪し


ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーのニュージーランドドルコース


南アフリカランド・コース・・・成績良好


ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーの南アフリカランドコース


日本円・コース・・・成績悪し


ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーの日本円コース


トルコリラ・コース・・・成績良好


ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーのトルコリラコース


米ドル建ブラジルレアル・ヘッジコース・・・成績悪し


ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーの米ドル建ブラジルレアル・ヘッジコース


米ドル建豪ドル・ヘッジコース・・・成績悪し


ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーの米ドル建豪ドル・ヘッジコース


ほとんどのコースで、参考指数に対して大きく負ける結果に


以上、米ドル・コース以外の7コースを全チェックしました。参考指数より運用成績の悪いコースは全部で5コース あり、以下の通りとなります。

・豪ドルコース
・NZドルコース
・日本円コース
・米ドル建ブラジルレアルヘッジコース
・米ドル建豪ドルヘッジコース



それに対して、参考指数よりも運用成績が良いのは、たったの2コースです。

・南アフリカランドコース
・トルコリラコース



なんと、為替取引を抱き合わせたほとんどのケースで、参考指数よりも劣っている結果となりました。米ドル・コース自体が参考指数より悪いことを加えると、全8コース中、6コースが参考指数より運用成績が悪い事になります。

それにしても、通貨取引を交えても上記のような惨憺たる状況になるのであれば、そんな取引をやる意味があるのかどうか、非常に疑問に感じます。通貨取引などは長期で見れば平準化されると思うので、あまり期待しないほうが良いと思うのですが・・・。

また、上記のような結果になった事に関して、納得できる説明があれば良いのですが、そのようなものは運用報告書を見ても無いですから、よく分かりません。これら8コースのうち、一体どのコースにどのような理由をもって投資すれば良いのか、サッパリ理解できませんね。



投資家と言うよりは博打打ちになってしまう可能性がある


上記のような結果になるのであれば、いちいち為替取引のような複雑な運用を駆使して、(コストまで余計にかけて)、投資する必要はありません。もっとシンプルに考える事が、長期で資産を増やすために有効な戦略になります。

そこで、ベンチマークは変わりますが、同じく新興国の債券に投資できる新興国債券インデックスファンド、と運用成績を比較しましょう。

2010年8月19日を起点として、2018年6月29日までのパフォーマンスをチェックします。単純にモーニングスターなどで比較できないので、現地通貨建ての債券は、ヤフーファイナンスより為替情報を取り、日本円に換算しました。その結果は次のようになります。

色々とコースがありますが、比較するとしたら日本円コースになると思います。余計な為替取引を入れ込んだりせず、素直に新興国債券のインデックスファンドに投資しているだけで、ダブルスコアで成績が良くなる事が分かります。

投資信託の名称 2010年8月19日 2018年6月29日 損益
SMT 新興国債券インデックス・オープン(無分配) 12,859円 15,463円 +20%
日本円・コース(無分配) 1,000円 1,096円 +10%


ただし、米ドルコースなどのその他のコースと比較すると、少々分が悪い事になってますね。参考指数に大幅に負けているアクティブファンドであっても、単純に値上がり益の絶対額を比較するとインデックスファンドよりも良い結果になる事は時折あり、こういう時には結論めいたことは言いにくくなりますから、悩ましいですね。(ベンチマークや参考指数が異なるので、本当の比較になってはいませんが)

投資信託の名称 2010年8月19日 2018年6月29日 損益
SMT 新興国債券インデックス・オープン(無分配) 12,859円 15,463円 +20%
米ドル・コース(無分配) 8,533円 13,087円 +53%
豪ドル・コース(無分配) 7,615円 11,266円 +48%


「運用目標に勝とうが負けようが、自分のお金が増えていればそれで良い」というような人には、 ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーは悪くないのかもしれません。

と言っても、どのコースに投資すれば納得するような資産の増加が図れるのか、完全に勘が頼りの世界になりますので、そのようなものは投資と呼ぶわけにはいきません。

成果の測定ができないような商品を買うような人はとうてい投資家とは言えず、仮に上手くいったとしても、それはたまたまラッキーだったからであり、博打のようなものであると言えます。

こういう投資がアリと言う事になれば、「リターンが高かったら何でもいいんでしょ?」と言う事になりかねず、常に何のコンセプト(あるいはルール)も無い、適当な投資に成り下がります。そういった事をやる人は長期では惨めな結果になりかねませんので、よくよく注意して頂きたいなと思います。



ダイワ新興国債券ファンド(通貨選択型)通貨タワーの基本的な情報


購入手数料:日本円コースは、上限2.0%(税抜) 、日本円コース以外は、上限3.0%(税抜)
信託報酬:費用1と2の合算
 ・費用1:年率1.34%(ただし各種報酬に最低報酬金額が設定されているため、各コースの純資産総額によっては年率1.34%程度を上回る可能性がある)
 ・費用2:年間67,200米ドルを、各コースの純資産総額で按分した額

信託財産留保額:なし
決算:年1回(毎年11月30日)
償還日:米ドル、豪ドル、NZドル、南アフリカランド、日本円の各コースは2020年11月30日(設定は2010年8月19日)、トルコリラ、ブラジルレアルヘッジ、豪ドルヘッジの各コースは2020年11月30日(設定は2011年9月22日)
運用:ダイワ・アセット・マネジメント(ヨーロッパ)リミテッド


なお、この投資信託は大和証券で購入する事ができます。たいへんなコストを支払う事になるので、大和証券は大いに喜ぶと思います。


 



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