東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)の徹底評価

(2018年月10更新)

安全資産の日本国債をメインに投資するのに、3%を超える分配金利回りで庶民に大人気。定期預金よりも高利回りでお宝発見と思っているのか。ゆうちょ銀行や地方銀行がが売りまくった事で純資産総額が6000億円に達している。中身については色々と問題点はあるものの、保有の仕方によっては有効な投資になるという人も存在する可能性がある。

東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)毎月決算型及び年1回決算型


  • 毎月決算型は猛烈なタコ足分配で、保有を続けるほど基準価額が右肩下がり
  • 買うとしたら1年決算型以外にはあり得ない
  • リスク許容度が著しく低い人向けの投資信託と言える


 


東京海上・円資産バランスファンドは、年1回決算型と毎月決算型の2コースから選択できます。年1回決算型は、無分配タイプとなります。これら2コースの本質的なところは同一ですので、本ページを参考にしてください。

東京海上・円資産バランスファンド(年1回決算型)(愛称:円奏会(年1回決算型)):985億円
東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)(愛称:円奏会):4,470億円


参考1000万円もゆうちょ銀行で東京海上・円資産バランスファンドを買わされました



安全資産の日本国債に投資するのに、あり得ないほどの高コスト


東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)(愛称:円奏会)の投資対象は、日本の国債、株式、REITの3資産です。国内の複数資産に分散投資する事で、安定的な成長を狙っています。基準価額の変動リスクを年率3%程度に抑える方針であるようです。

各資産の投資配分は、基本的に日本債券70%、日本株式15%、日本REIT15%を目標とします。安全資産である日本国債が7割を占めますから、かなりリスクを抑えて収益を狙うタイプになります。

東京海上・円資産バランスファンドの資産配分比率


で、まず真っ先にツッコミたいのは、安全資産をメインにして投資するにもかかわらず、コストが異様に高いという事です

日本の国債など、郵便局でコストゼロで、個人向け国債を買うことが出来る時代です。そこに、購入手数料1.5%、信託報酬0.8%を取るなど、かなり高いです。債券の利回りは異様に低く、マイナス金利政策の導入でさらに低下しているのに、こんなコストを取られたら全く割に合いません。

債券投資の基本は、コスト倒れしないようにすることが非常に重要な中、仮に10年保有したら元本の1割以上がコストで失われるような投資信託には、基本的にはお金を託してはなりません。



基準価額の変動を年率3%以内に収めるという目標は達成できている


そして、市場環境に合わせて投資配分をアクティブに変更する投資信託です。下記のようにリスク資産である株式とREITの比率を、上げたり下げたりして市場リスクに対応する方針です。

基準価額の変動リスクを年率3%程度に抑える為に、日本株式と日本REITへの投資割合を変更する訳ですね。このように機動的に投資配分を変更する投資信託で、良好な成績を叩き出したファンドを見た事がなく、猛烈に不安になります。

クソみたいな成績を残しているBAMワールド・ボンド&カレンシ-・ファンドなどの事例も読んでいただいて、そんな上手い具合に投資が出来たら誰も苦労しないという事を、理解すべきです。

東京海上・円資産バランスファンドの資産配分比率の変更

東京海上・円資産バランスファンドの資産配分比率調整のイメージ


これまでの資産配分比率を見ると、かなり積極的に比率を変更しています。こんな事をするから、売買手数料が無駄に必要になり、コストの分だけパフォーマンスが落ちるのが怖いです。

東京海上・円資産バランスファンドの過去の試算組み入れ比率の推移


ところで、上記で現金比率(短期金融資産)を増やした時期と、以下、日経平均株価指数と東証REIT指数の値動きを重ねてみました。赤枠が、投資信託の現金比率が高まった時期です。目視で上記のチャートから時期を確認しているので、正確ではないと思いますが、大筋で合っているはずです。

東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)が現金比率を高めた時期


上記のチャートを見た感じだと、何故そのタイミングに大幅に現金比率を上昇させたのか、全く理解できませんでした。というか、現金化したことでリスクが下がったのかイマイチよく分かりません。

ただ、目的である価格変動リスク(下記で言うところの標準偏差の事)を3%程度に抑えることには、過去5年の標準偏差値が2%程度になっていますので、達成している事は確認できます。

東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)の標準偏差


機動的に資産配分比率を変更する事によって、リターンを思う存分に上げている投資信託を見かける事は皆無に近いですが、一方でこの手法でリスクを下げる事については、有用性があるかもしれませんね。

もっとも、現金比率を上げるだけの事ですから、リターンを上げるよりもはるかに容易に達成できそうなことは想像がつきます。途轍もなく凄い事をやっている訳ではないという事は、頭の片隅に置いておきましょう。



ベンチマーク無し、一体どうやって投資信託の良し悪しを判定するの?


さて、この投資信託は中長期的に高い利益を狙うのではなくて、着実で安定的な資産の成長を狙うものです。リスクを年率3%以内に収める事を数値的な目標に掲げているので、これは裏を返すとリターンはかなり少ないよ、という意味になります。

金融の世界では、リスクとリターンは表裏一体です。ハイリスクなものはハイリターンである一方、今回のようなローリスクの投資信託はローリターンである事が常識です。

東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)に投資をすると、リスクを抑えて高いリターンを出せると勘違いする人も多数いかもしれませんが、そんな事は全く無く、銀行にお金を置いておくよりはだいぶマシな程度のリターンを期待するような投資信託になります

ところで、東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)にはリスクについての運用上の数値目標はありますが、リターンについての指標であるベンチマークや参考指数がありません。この点で、投資家はリターンの合理的な判定ができないという意味で、非常にもどかしい事になります。

そこで、当サイト管理人が、本ファンドと類似するリスク水準のバランス型投資信託をピックアップして、東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)とリスクとリターンを比較してみました。以下、比較する投資信託と、比較した結果です。

名称 購入手数料 信託報酬
(税抜き)
三井住友・DC年金バランスゼロ(債券型)(愛称:マイパッケージZERO) 無料 0.22%
三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(マイパッケージ) 無料 0.22%

東京海上・円資産バランスファンドと、三井住友・DC年金バランスの過去3年のリターンの比較


東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)は購入時に1.5%の手数料が取られますから、それを考慮すると上記のリターンはその分、減少しますが、「リターンが銀行預金よりは高くて、ほぼほぼ元本割れしないで、ドキドキしないで少しずつ資産が増えれば良い」という人にとっては、なるほど確かに魅力的な投資信託である事は間違いないなと思ってしまいました・笑

参考までに、初心者向けの投資信託として紹介される事の多い、徹底的な国際分散投資を行うバランス型ファンドのセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドと、リスクとリターンを比べてみましょう。




セゾンのファンドは典型的なミドルリスクミドルリターンの商品です。

5年の成績を見ると、年率換算でのリターンがダブルスコアでセゾンの方が儲かる訳ですが、5年の標準偏差では3倍以上もリスクが高い訳で、実際にグラフを見ると、セゾンのような価格の上げ下げに耐えきれないから「投資は嫌だ」という人が多いのですから、それを考えると、東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)には一定の存在意義はあるのかなと思わざるを得ませんね。



ただし「毎月決算型」はクソ商品なので、買ってはいけない


さて、東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)の分配金についても、見ておきましょうか。まず投資対象からの配当利回りが、下記になります。赤枠が国内債券の、青枠が国内株式の、紫枠が国内不動産の利回りになります。

東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)の投資先からの配当利回り


債券の利回り0.42%、株式の利回り3.06%、不動産の利回りは4.04%となります。実際には、不動産と株式は全体の3割保有です。この比率で単純計算すれば、不動産と株と債券を合わせた実質的な配当利回りは、合計1.3%程度になります。

これに対して信託報酬が約1%ですから、計算上、コストに食われて最終的な利回り(分配金利回り)は0.3%、という商品設計です。こういうのはボッタクリと言わずして、何と言えば良いのでしょうか? 

というか、このような状況にも関わらず、東京海上・円資産バランスファンドの分配金利回りは、3%弱もあります。計算が合いません。

東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)の分配金利回り


こんな状態であなたに分配金を支払うのですから、実態は酷いものとなっています。下記をご覧ください。 毎月の分配金30円(青線)に対して、配当などの収益(赤枠)が数円程度しかない月が、ほとんどです。

東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)の分配原資の内訳


つまりこれは、基本的にはあなたの資産が勝手に取り崩されて分配金として支払われている可能性が強いことを示しています。手元にある分配金の内訳をご覧いただき、分配金が特別分配金(あるいは元本払戻金)と記載されていたら、それは利益でもなんでもないという事になります。

利益以外から分配金を強引に出すのですから、相場がよほど絶好調の時以外は、基準価額など右肩下がりになります。下記は、毎月決算型の基準価額の推移です。赤枠の、市場が絶好調な時は分配金を出した後も右肩上がりになりますが、相場が落ち着くと(青枠)安定的な右肩下がりです。

東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)の基準価額と純資産総額の推移


赤枠の部分は、アベノミクスが始まってからの日本株や日本のREITで大相場が到来したタイミングですから、それはレアケースだと考え、基本は青枠のように右肩下がりだと思っておいた方が良いですね。

というか、純資産総額は青枠の部分で大きく増えています。と言う事は、その期間に投資した人の基準価額は、ほぼ全員が右肩下がりだという訳であり、せっかく安定的に資産が増えると思ったのに真逆の状態になっています。

自分の資金でもある元本を勝手に払い戻されて、それを利益だと勘違いして生活費に使ってしまった人は、投資しているのではなくて単なる浪費だと言う事ですから、悲しい結果になりますね。

元本払戻金を利益だと勘違いしている人は、投資期間が長くなればなるほど「安定的」にお金を失う事になりかねません。東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)などは決して買わずに、この投資信託を買う場合は年1回決算型にするのが賢明です。



正しい買い方と、正しい保有の仕方について


東京海上・円資産バランスファンドは、毎月決算型も年1回決算型も購入時に1.5%の手数料が取られます。したがって、この投資信託は積み立て投資には全くの不向きです。買うとしたら、一括投資の人に限られます。

基本的に全ての金融機関で1.5%の手数料が取られますので、100万円を一括投資する人は、何もしていないのにいきなり1万5000円を抜き取られてのスタートになります。300万円の人は4万5000円、500万円だと7万5000円にもなり、金融機関が喜びます。

この投資信託を買う場合は、唯一、フィデリティ証券だけが手数料無料で買い付けできますので、上記のような万単位のコストをカットする事で、全額を投資に回す事が可能になります。

そして、買い付けるのは、年1回決算型の一択です。年1回決算型ならば無分配タイプですから、長期で安定的な右肩上がりが期待できます。途中、分配金のような形で資金を手元に戻したい時は、投資した時の元本の金額を下回らない範囲で「売却」の注文を入れると良いでしょう。

例えば、100万円を投資した人の基準価額が105万円になったならば、「利益」の5万円分だけ売却注文を出して取り崩しを行えば良い訳です。この取り崩しを、運用側が勝手に行うのが毎月の分配金です。別に自分で売却注文を出せば良いだけで、これならば「タコ足分配」にならずに、長期的に安定的に利益を確保できることになります。

まとめますと、東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)を買う場合は、毎月決算型は絶対に避けて年1回決算型を購入して、投資したお金よりも基準価額が上昇して利益が出た場合に、その利益分だけを売却して取り崩して、安定的に収益を得ましょうと言う事です。

もちろん、複利効果によって長期的により大きく増やしたい場合は、年1回決算型を買ってそのまま保有し続ける事が理想的ですね。

ただし、いくら安定的に年率リスクが3%以内になるように運用されると言っても、絶対に必ず価格が上昇するとは限らない事も、頭に入れておいてください。運用側のシミュレーションをご覧ください。

東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)の運用成績のシミュレーション


例えば青枠のところ、2006年後半あたりから2008年後半までの2年間などは、ずっと右肩下がりになっています。いくら低リスクとは言っても、絶対に元本割れしないという事ではありませんので、そのような相場状況の時は「投資とはそんなものだ」と割り切って、その時期が過ぎるのをのんびり待つようにして下さい。



東京海上・円資産バランスファンド(愛称:円奏会)の概要やコスト情報


購入手数料上限1.5%(税抜き)
信託報酬年率0.84%(税抜き)
信託財産留保額:なし
償還日:2032年7月23日(設定・2012年11月9日)
運用:東京海上アセットマネジメント株式会社

コスト的に不満がある場合、あるいは「流石にリターンが低すぎる」と考える場合は、ごくわずかにリスクは増しますが、超低コストの(すでに紹介している)三井住友・DC年金バランスゼロ(債券型)(愛称:マイパッケージZERO)を検討すると良いですね。

なお、購入に関してはゆうちょ銀行をはじめとする各銀行のほかに、ネットではSBI証券楽天証券を利用できます。ただし、これらは全て手数料1.5%となりますので、先述したように フィデリティ証券を使って、その部分のコストをゼロにすると良いでしょう。


 



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