野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)の超絶ハイリスクに驚き

(2018年9月時点)

壮絶な過剰分配を行い分配金利回りを操作した事で、一時4000億円近い資金を集めたケシカラン投資信託。減配を続けているからか純資産総額の減少が続くが、現在でも2800億円を超える規模である。そもそも一般人がこのような複雑でリスクの塊のような投資信託になど手を出す必要はなく、こんなものを買っている投資家は、自分がカモになっている事をもっと自覚したほうが良い。

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)


  • あなたがハイイールド債券にわざわざ投資をする理由が有るのか考えよ
  • ハイイールド債券に新興国の通貨を抱き合わせたら、超ハイリスクと心得よ
  • 株式ファンドに投資しているよりも更にハイリスクになっている現実
  • 過去には、分配金の出し方を「操作」していたとしか思えない痕跡が有り


 


野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)は、全部で18コースがあり


野村?国ハイ・イールド債券投信は、分配タイプ(毎月分配型あるいは年2回決算型)と為替取引(9種類)の組み合わせによる、全18コースから選択する事になります。 全コースを合算した純資産総額は、2877億円です。特に、ブラジルレアルコースや豪ドルコースに人気があります。これら2コースを中心に解説します。

コース 毎?分配型 年2回決算型
ブラジルレアルコース 1,194億円 100億円
豪ドルコース 539億円 14億円
円コース 342億円 59億円
トルコリラコース 198億円 39億円
?ドルコース 192億円 40億円
通貨セレクトコース 103億円 11億円
メキシコペソコース 19億円 8億円
南アフリカランドコース 8億円 1.9億円
ユーロコース 1.6億円 0.6億円


なお、ブラジルレアルコースと豪ドルコース以外にも、ほとんどの内容は共通しています。従って、上記の全てのコースで、本ページがあなたのお役に立てるはずですので、以下、ご覧ください。



一般人が、ハイイールド債券に投資する理由などあるのか?


野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)の収益源は、米国のハイイールド債券の金利収入と、米ドルを売り、選択した通貨を買う、為替取引による金利差収入になります。米ドルコース以外の全コースで、為替取引の金利差収入が期待できます。(単純な為替差益も収益源です)

本ファンドのようなタイプで注意が必要なのは、やはり投機的な債券であるハイイールド債券に資産のほぼ全て(99.55%)を投入している点でしょう。 米国の債券だから安全という訳ではありません。

野村米国ハイ・イールド債券投信(豪ドルコース)の収益の源泉


ハイイールド債券については、別途用語集のコーナーにて解説しますので、あわせてそちらも見ていただいて、いかにリスクの高い商品なのか、ぜひ御認識いただきたいと思います。その上で、続きをご覧下さい。

さて、野村米国ハイ・イールド債券投信の主な投資先は、下記のB~BB格付けのようです。十分な注意が必要な所に、多額の資金を貸し出している事を再認識して頂きたいですね。

月次レポートを見ると、ハイイールド債券の構成が確認できます。アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンドのように、CCCの格付け以下の、超クズ債券まで含まれているのが分かります。

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)のポートフォリオ


絶えず注意を払う必要のある債券に、資産のほぼ全てが投下されています。これだけでも充分に危ない橋を渡っているのですが、CCC以下に約7%、その他の格付けすらできない債券に7%近くの、合計14%以上は、下記のように事実上デフォルトしているような貸出先です。

ハイイールド債券のCCC格以下のリスク


上記の文章みるかぎり、こんな投機的・・・いや、どぶに捨てるような貸出先に資金を投入する事自体が信じられないです。投資家の皆さんは理解して購入しているのでしょうか? 過去のデフォルト率は下記のようになっているようです。

米国のハイイールド債券のパフォーマンスとスプレッド、デフォルト率の推移


数年おきに、デフォルト率が10%台まで上昇しているようです。10人に1人は破綻するという事ですね。高確率です。万が一にデフォルトした場合の資金の回収率は、50%以下のようです。多くの債券に分散していると言いますが、デカい金融危機が再度起こった場合の価格の下落については、相当なものでしょう。

どちらにしろ、デフォルトするような可能性が高い貸し出し先に大事な資金を預けている状況であり、管理人は自分の両親がこのような投信を手を出すのであれば、全力で阻止しますね。 もちろん、このような状況を知っていて買うのは別です。理解した上での投資は、自己責任ですし問題はありません。

ハイイールド債券の利回りは、数年前に比べて若干低下しています。しかし、市場が荒れ始めると利回りが上昇し、債券価格が暴落します。そのような状況になれば、この投資信託を保有している人は、泡を食う事になるでしょう。

米国のハイイールド債券と各国の国債との利回り比較



野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)の運用成績


インデックスファンドと大差ない債券の運用成績


では、野村米国ハイ・イールド債券投信の運用成績からチェックしていきます。まず最初に指摘したいのは、この投資信託には参考指数やベンチマークがないので、運用パフォーマンスの良し悪しの投資判断を下せないという点です。基本的に、このような投資信託は買ってはいけません。

そのうえ、為替取引を抱き合わせているものですから、余計に分からない困った状況です。仕方が無いので、為替取引の無い米ドルコースと、インデックス運用のiシェアーズ ハイイールド債券インデックス・ファンド と、強引にパフォーマンスを比較してみました。

iシェアーズ ハイイールド債券インデックス・ファンドは、米ドル建ての高利回り社債市場の値動きを表す、「マークイット iBoxx 米ドル建てリキッド・ハイイールド・キャップト指数」をベンチマークとするインデックス型の投資信託です。

この投資信託も米国のハイイールド債券ファンドですから、比較にはちょうど良いと思います。インデックスファンドの運用成績と比べてみれば、野村米国ハイ・イールド債券投信の債券投資部分の良し悪しを一定程度、判断できるはずです。以下、直近3年の運用成績を比べた結果をご覧ください。

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)とiシェアーズ ハイイールド債券インデックス・ファンドのリターン比較


感想としては、インデックスファンドとほとんど変わらず、野村米国ハイ・イールド債券投信はアクティブファンドですから、基本的には高いコストを支払う事に見合うような運用ではないとの結論になります。

これなら、最初からインデックス運用の投資信託を利用した方が、コストの分だけ、長期的に報われるのではないかと考えてしまいます。


 


為替取引で成績が向上させようとしている


しかしながら、上記のように簡単には結論を出せないのが、野村?国ハイ・イールド債券投信です。既に記したように、複数の通貨の為替取引を抱き合わせる事で、定期収益の上乗せを目論んでいます。したがって、為替取引を含めたトータルリターンがどうなのかも見ておかねばなりません。

そこで、為替取引を実施している各コースと、iシェアーズ ハイイールド債券インデックス・ファンドを比べることで、為替取引が運用成績の底上げに成功したのかを、判断してみる事にしましょう。通貨別の全8コースの運用成績結果を順次ご覧ください。


●ブラジルレアルコース

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)ブラジルレアルコース


●豪ドルコース

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)豪ドルコース


●円コース

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)円コース


●トルコリラコース

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)トルコリラコース


●通貨セレクトコース

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)通貨セレクトコース


●メキシコペソコース

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)メキシコペソコース


●南アフリカランドコース

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)南アフリカランドコース


●ユーロコース

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)ユーロコース



リスクの高まりには最大限の警戒を


以上を見ていると、為替取引によって、かなり運用成績の底上げが出来ている事が分かります。この点は、素直に評価して良い。主として、相場が上昇する局面で、利幅を大きく取る事が出来ている印象です。

ただし、上記までの複数のグラフを、もう一度よくご覧ください。リスクが、異様に高まっている点に、気が付きませんでしょうか? iシェアーズ ハイイールド債券インデックス・ファンドの値動きと、野村米国ハイ・イールド債券投信の値動きの上下の振れ幅は、どちらの方が大きいでしょうか?

リスクについては、標準偏差の数値を見れば、一発で実態が分かります。リターンだけはなく、標準偏差の数値も以下の通りまとめてみましたので、あわせてチェックしてみましょう。(数字が大きいほど、リスクが高いという意味になります)

コース(全て毎月分配型です) 1年 2年
ブラジルレアルコース 12.79 19.86
豪ドルコース 8.96 12.97
円コース 2.11 5.39
トルコリラコース 24.65 19.75
?ドルコース 7.67 10.79
通貨セレクトコース 11.28 14.83
メキシコペソコース 12.80 16.59
南アフリカランドコース 18.85 20.16
ユーロコース 8.12 10.72
iシェアーズ ハイイールド債券インデックス・ファンド(参考) 7.14 9.72
SMTダウ・ジョーンズ インデックス・オープン(参考) 12.17 16.35
iシェアーズ 新興国株式インデックス・ファンド(参考) 11.93 15.36


知らないうちに、どれほどのリスクを抱えているのか分からなくなっているでしょうから、参考として、米国のダウ平均株価に連動するインデックスファンドと、新興国株式全体に投資できるインデックスファンドのリスクも、比較して掲示しました。

そして、表の中で赤文字にした部分は、株式ファンドに比べても更に上を行くリスクを取っているタイプになります。それらは著しくリスクが高い状態と判断されますので、ちょうど2017年のように運用成績が好転している時には高いリターンを確保できますが、相場が逆回転した場合は、ハイリスクハイリターンの代表格である株式クラスよりも、さらにすっとんで価格が下がる事を意味します

分かりやすい事例が、トルコリラコースですね(もう一度グラフを見て下さいね)。トルコの通貨が大暴落して、投信の基準価額も、一挙にとんでもない暴落を引き起こしています。これが、ハイリスクを承知で(あるいは知らないで)投資を行う事の結果でもあります。

最後に、SMTダウ・ジョーンズ インデックス・オープンと、野村米国ハイ・イールド債券投信の主要なコースの3年間のリターン比較を載せておきましょう。これを見て、何を感じるかが勝敗の分かれ目です。

野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)とダウ平均株価に連動するインデックスファンドとのリターン比較


2016年と2017年は、米国ダウ平均株価への投資よりも、ブラジルレアルコースの方が2割ほども運用成績が良いという、普通に考えると信じられないような状況になっていました。あの絶好調のアメリカの株よりも更に上を行くのは、信じ難い成績です。

が、同じくぶっ飛んで下に行くのも早いもので、2018年は新興国通貨に逆風が吹いて、各コースとも、死人が出るレベルで猛烈な価格下落に見舞われています。年初から、ブラジルレアルコースもトルコリラコースも30%の大暴落です。

つまり、何が言いたいのかと言うと、アメリカのハイイールド債券だけでもかなりリスクが高い投資先なのに、そこに新興国通貨のようなハイリスクのものを更にミックスして、超絶に強引にリターンを高める設計というのは、株式投資をも上回る超絶ハイリスクだという事です。毒薬レベルと言っても良いでしょう。

そして、こんな投資信託は、一般人が取り扱えるようなシロモノではありません。どこでこれを買って、どこで逃げる(利益確定して相場から遠ざかる)のか、投資方針がしっかりとした人以外は、絶対に近づいてはならないほどのものです。

こんなものを買って、「安定的に毎月の分配金を得たい」などと言う人がいたら、ヘソで茶を沸かすような滑稽な投資行動であるといわざるを得ません。自分がいかにデンジャラスな世界に大事なお金を置いているのか、再確認したほうが良いでしょう。



野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)の分配金について


続いて、分配金の出し方に問題は無いのか、その点を見てみます。野村米国ハイ・イールド債券投信で人気の豪ドルコースとブラジルレアルコースの状況を確認してみましょう。


●豪ドルコースの分配金


2014年頃の200円の分配から減額が続き、今では月20円にまで落ち込んでいます。順次分配金を下げましたので、分配金利回りも低下し続けています。現在の分配金利回りは8%です。3年前の分配金利回りは16%台でしたので、利回りが簡単に操作できる良い実例に見えてきますね。

豪ドルコースの分配金


●ブラジルレアルコースの分配金


同様に、ブラジルレアルコースの分配金も減額傾向が続いています。2016年初旬で月100円だった分配金が、現在では月30円です。これほど急激に、分配金が減少する投資信託も珍しいような気がします。

ブラジルレアルコースに至っては、2016年初旬の時点で分配金利回りが29%近くあり、極めて異常な状況が続いていました。その後の減額により利回りが低下したと言っても、現時点の分配金利回り18%は、まだ相当に高すぎると思います。

ブラジルレアルコースの分配金



これらの投資信託を保有していたら、おそらく分配金のほとんどが、普通分配金ではなくて特別分配金(元本払戻金)だと思います。

豪ドルコース、ブラジルレアルコースの分配金原資の内訳を調べたところ、現在の少ない分配金であっても、定期収益でカバーできていません。ということは、分配金が100円以上の頃は、受け取る分配金の多くが特別分配金だったと想像できます。


●豪ドルコースの分配原資の内訳

豪ドルコースの分配原資の内訳


●ブラジルレアルコースの分配原資の内訳

ブラジルレアルコースの分配原資の内訳


上記のように、40円とか50円でようやくタコ足分配かそうでないかのギリギリのラインです。かつてこれらは200円、あるいは100円の分配金を出していました。数年で、いとも簡単に分配金を増減させらるのですから、私から見たらとても信用ならない分配方針です。

分配金を目的に投資をする場合、くれぐれもタコ足分配ではないファンド、具体的にはカモにならないための分配金のもらい方のページをご覧いただき、良く考えて投資をしたいものです。



野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)のアクドイ売り方の痕跡


最後に、この投資信託を分析する事によって透けて見えてくる、野村證券のあこぎな販売戦略について言及します。ここでは、豪ドルコースの設定来のチャートで、分配金の多寡、基準価額や純資産総額の推移を見てみましょう。250円とか書いてあるのが、毎月の分配金の額です。

野村米国ハイ・イールド債券投信(豪ドルコース)の分配金額の推移と純資産残高の推移


投資信託の設定時は、「まずまずの適正な分配金」しか出さないために基準価額は上昇しますが、資産残高の伸びはイマイチです。この流れが変わったのが、分配金を2倍程度に激増させた2010年の中旬ごろです。

恐らくこのあたりで、表面的な利回りが急上昇していると思われます。資産の増加の仕方が過去1年と比べて異常です。(純資産は図の下の棒グラフのところです)

分配金を少々減額させた2012末頃を過ぎたあたりから、総資産の伸びが鈍化して、減少に転じています。その後の度重なる減額に伴い、純資産の減少が続いています。

ちょっとこれ・・・・かなり怪しい動きだと思いませんか? ・・・・ なんとなくですが、大手証券会社の販売方針が見えてきたような気がします。

(ここから、かなり管理人の個人的な妄想です。)

最初の1、2年は少額の分配金にして基準価額を上昇させ(ファンド熟成期間)、その後利回りを急激に上げるような分配金に変更(カモの投資家集め)、 当然ランキング上位にも上がってくるので総資産激増。

そして、分配金を少々下げてカモにする投資家の目を他の投資信託に向けさせる(本ファンドの役目終了。) といった「さじ加減」なのではないでしょうか。

カモが他の投資信託に乗り換えてくれれば手数料収入を何度も多額に取れますし、乗り換え先で再び上記のような事をやれば、無限ループの完成ですね・笑。

このファンドの総資産が下落に転じたあたりで、ランキングの1位~4位である下記のファンドの総資産が急激に増加しています。もちろん利回りも激増しています。 と言う事は、野村證券は野村米国ハイ・イールド債券投信からの以下のような投資信託に、カモを乗り換えさせる事に成功しているかもしれません。

ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(米ドルコース)毎月分配型
アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド(トルコリラコース)

過去の野村證券の販売ランキング


まさか野村證券は、1年毎に、カモとなる顧客に販売させる投資信託をあらかじめ決めておいて、上記のように順繰りに売りさばいているのではないでしょうかね? アクドイ商売を昔からやっているようですね、(あ。ちなみに管理人の妄想ですから、あしからず。)



野村米国ハイ・イールド債券投信(豪ドルコース)のバカ高いコスト


購入手数料上限3.0%(税抜き)
信託報酬年率1.58%程度(税抜き)・・・通貨セレクトコースのみ1.73%程度
信託財産留保額:0.3%
償還日:平成31年1月27日(設定日:平成21年1月28日)
運用:野村アセットマネジメント株式会社


取られるコストが異様に高いです。まず購入時に3%も取られていたら、投資もへったくれもありません。しかも信託報酬が1.6%というのは、10年間保有で、元本が16%も、コストだけで取られる事を意味します。購入手数料と合わせると約20%が金融機関の懐に転がり込みます。

そんな事して一体、何が楽しい、何が嬉しいのでしょうか??  もちろん、販売先の野村證券を喜ばせたいという想いが有るのならば、沢山の量をガッツリと買ってあげてください。


 

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